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店舗・オフィスの適正賃料の算出方法|自社賃料の妥当性を確認する

- 目次
貸主から賃料増額の通知を受けたとき、契約更新が近づいたとき、または新規出店・移転候補の物件を検討するとき、「この賃料は本当に妥当なのか」と判断に迷うことがあります。
賃料は毎月発生する固定費です。1物件では小さな差に見えても、複数拠点を持つ企業では全社コストに大きく影響します。
本記事では、店舗・オフィスなどの事業用不動産を借りている企業担当者向けに、適正賃料の考え方、相場との違い、主な算出方法、確認すべきタイミングを解説します。

適正賃料とは「物件条件と契約条件を踏まえた妥当な賃料」のこと
適正賃料とは、物件の立地・面積・設備・契約条件・市場環境などを踏まえて算出される、その物件にとって適切な賃料のことです。
そのため、単に周辺物件の平均賃料を見るだけでは、自社が借りているテナントの適正賃料はいくらなのか判断することができません。同じエリアにある物件でも、契約条件や建物仕様によって適正賃料は変わるためです。
この点を切り分けずに判断すると、「周辺より高いから不適正」「相場と近いから問題ない」といった早計な結論になりやすくなります。
相場と適正賃料は別の概念

より具体的に、相場と適正賃料の違いについて解説いたします。
相場とは、市場に出ている物件や取引事例から見た賃料水準の目安です。一方、適正賃料は、個別物件の条件を踏まえて判断する賃料です。
以下の表は、相場と適正賃料の違いを整理したものです。
| 項目 | 相場 | 適正賃料 |
| 見る対象 | エリアや市場全体の賃料水準 | 個別物件の妥当な賃料 |
| 判断材料 | 周辺物件、募集情報、相場データなど | 立地、面積、設備、契約条件、成約水準など |
| 使い方 | 大まかな目安を把握する | 現行賃料や提示賃料の妥当性を確認する |
| 注意点 | 個別条件までは反映しきれない | 条件補正や専門的な判断が必要になる |
たとえば、同じエリアで同じ坪単価の物件があっても、駅からの距離、建物グレード、共益費、フリーレントの有無が違えば、負担感は変わります。
「相場に近いか」だけではなく、「その物件の条件に対して妥当か」を見ることが判断の分かれ目です。
新規賃料と継続賃料では考え方が異なる
新しく物件を借りる場合の賃料と、既存契約を継続する場合の賃料は、同じ考え方で判断できるとは限りません。
新規に契約する場合は、現在の市場でどの程度の賃料水準が形成されているかが重要になります。一方で、契約更新や再契約、賃料改定の場面では、現在の市場環境だけでなく、既存契約の条件やこれまでの経緯も考慮されます。
そのため、契約更新や賃料増額通知を受けた際に、周辺の募集賃料だけを見て判断すると、実態とずれる場合があります。貸主から提示された金額を受け入れる前に、自社の契約条件や物件特性も含めて確認することが重要です。
適正賃料の主な算出方法

適正賃料の算出は、物件の賃料が妥当かどうかを判断するためのものと捉えるべきです。
代表的な方法には、賃貸事例比較法、積算法、収益分析法などがあります。ただし、企業担当者が自社だけで正確に算出するには限界があります。ここでは、判断材料として知っておきたい範囲に絞って整理します。

以下の表は、主な算出方法と借主企業が押さえるべきポイントをまとめたものです。
| 方法 | 概要 | 借主企業が知っておくべき点 |
| 賃貸事例比較法 | 類似物件の賃貸事例と比較する方法 | 自社で相場確認する発想に近い |
| 積算法 | 土地・建物価値や利回りから算出する方法 | 貸主側の算定根拠として出ることがある |
| 収益分析法 | 物件の収益性をもとに賃料を考える方法 | 店舗・事業用物件で関係しやすい |
継続賃料の改定では、差額配分方式、利回り法、スライド方式、賃貸事例比較法などが参照される場合もあります。ただし、借主企業が記事上で詳細な計算式まで理解する必要性は高くありません。
①賃貸事例比較法
賃貸事例比較法とは、類似する物件の賃貸事例を収集し、条件差を補正したうえで比較する方法です。
不動産鑑定評価の考え方では、事情補正、時点修正、地域要因の比較、個別要因の比較などを行い、対象物件に近い条件へ調整します。借主企業が自社で相場を確認しようとするとき、多くの場合、この発想に近い動きになります。周辺の類似物件を調べ、自社物件と比較する流れです。
ただし、単に近隣物件を並べるだけでは不十分です。賃料には、立地、面積、築年数、階数、設備、契約条件などが影響します。条件差を補正しなければ、比較の精度は上がりません。この点で判断が割れやすいのは、見た目には似ている物件でも、契約条件まで見ると別物であるケースがあるためです。
▼賃貸事例比較法の基本手順
賃貸事例比較法の考え方は、以下の3ステップで整理できます。
- 事例を収集する:
周辺エリアにある類似物件の賃料情報を確認します。用途、面積、駅距離、建物グレードなどが近い物件を選ぶことが前提です。 - 条件差を補正する:
築年数、階数、設備、共益費、フリーレント、契約期間などの違いを確認します。条件が違うまま比較すると、賃料水準を見誤ります。 - 比較して妥当性を判断する:
補正後の水準と自社物件の賃料を比べます。ただし、公開されている情報だけでは成約賃料や詳細条件まで把握しにくい点に注意が必要です。
この手順を踏むと、単なる「周辺物件との比較」よりも判断精度は上がります。それでも、成約データや条件補正の限界は残ります。
②積算法
積算法とは、土地や建物の価格、必要経費、期待利回りなどをもとに賃料を求める考え方です。
貸主側が賃料設定や増額の根拠を説明する際に、このような考え方が背景にある場合があります。土地価格や建物価格、利回り、維持管理費などが関係するため、借主が独自に正確な金額を算出するのは簡単ではありません。
担当者としては、「貸主側の算定には、物件の資産価値や必要経費をもとにした考え方がある」と理解しておけば十分です。細かな計算に入り込むより、提示された賃料が市場水準や契約条件と整合しているかを確認するほうが優先度は高いでしょう。
③収益分析法
収益分析法とは、対象不動産から得られる収益性を分析し、その収益力を踏まえて賃料を考える方法です。
不動産鑑定評価の考え方では、企業経営に基づく総収益を分析し、純収益を求めたうえで必要諸経費等を加算して賃料を求めます。店舗や事業用物件では、物件の収益性を考える際に関係しやすい手法です。
ただし、収益分析法は単純に「売上の何%なら適正」と決める考え方ではありません。
ここで混同しやすいのが、売上比率です。売上や粗利に対する賃料比率は、事業として賃料を負担できるかを見る参考にはなります。しかし、相場に対して賃料が高いか低いかを示す根拠にはなりません。売上比率は、あくまで収益性のチェック指標です。適正賃料の判断では、物件条件や市場水準とあわせて見る必要があります。
適正賃料に影響する主な要素

適正賃料に影響する要素として、物件条件や契約条件が挙げられます。
同じエリア、同じ面積の物件でも、以下の要素が異なれば賃料の妥当性は変わります。ここを確認しないまま比較すると、「似ている物件だから同じ水準でよい」と判断してしまいがちです。
①エリア・立地条件
エリアや立地条件は、賃料水準に大きく影響します。
駅からの距離、商圏、交通利便性、周辺施設、視認性、人通りなどは、店舗やオフィスの価値に関わります。同じ最寄り駅でも、駅前と徒歩10分の立地では賃料水準が変わることがあります。店舗の場合は、通行量や周辺の競合状況も確認対象になります。オフィスの場合は、主要駅へのアクセスや従業員の通勤利便性が判断材料になりやすいです。
表面上は同じエリアに見えても、利用者にとっての利便性が違えば、賃料の前提も変わります。
②面積・階数・建物条件
面積、階数、築年数、建物グレード、設備仕様も賃料に影響します。
たとえば、同じビルでも1階店舗と上層階の区画では、集客性や利用用途が異なります。オフィスでも、エントランスの印象、空調、セキュリティ、OAフロアの有無などが賃料に反映されることがあります。
ここで注意したいのは、坪単価だけで比較しないことです。面積が広い物件では坪単価が抑えられることもあり、単純な坪単価比較では判断を誤る可能性があります。
③契約条件
契約条件は、実質的な負担額に直結します。
以下の表は、適正賃料を確認する際に見落としやすい契約条件を整理したものです。
| 項目 | 確認すべき理由 |
| 共益費 | 月額負担に含まれるか、別途発生するかで総額が変わる |
| 保証金・敷金 | 初期費用や資金拘束に影響する |
| 礼金 | 返還されない費用として初期負担になる |
| 契約期間 | フリーレントや一時金をならして考える際に必要 |
| フリーレント | 一定期間の賃料免除により実質負担を下げる |
| 更新・再契約条件 | 将来の賃料改定リスクに関係する |
この点は見落とされやすいのですが、月額賃料が低く見えても、共益費や一時金を含めると総負担が重いケースがあります。
適正賃料を確認する際は、表面賃料だけでなく契約条件を含めた実質負担を見ることが前提になります。
④需給状況・市場環境
空室率、需要、エリア人気、市場変動も賃料に影響します。
需要が高いエリアでは賃料が上がりやすく、空室が多いエリアでは賃料の調整余地が出ることがあります。近年は、物価上昇や管理コストの上昇を背景に、賃料増額を打診されるケースも見られます。
ただし、市場全体が上昇しているからといって、すべての物件で増額が妥当とは限りません。個別物件の条件、契約経緯、周辺の成約水準を確認して初めて判断できます。
「市場が上がっている」という説明を受けたときこそ、自社物件に当てはめて確認する必要があります。
自社だけで適正賃料を判断するのが難しい理由

適正賃料の考え方や算出方法を理解しても、自社だけで正確に判断することは簡単ではありません。なぜなら、適正賃料の判断には公開情報だけでは把握しにくいデータや、専門的な条件補正が必要になるためです。
ここでは、企業担当者が適正賃料の判断に迷いやすい主な理由を解説します。
①売上比率だけでは適正賃料を判断できない
売上に対する賃料比率は、店舗や拠点の収益性を見るうえで参考になります。
ただし、売上比率だけで適正賃料を判断することはできません。業種、客単価、回転率、粗利率、営業時間、商圏特性によって、許容できる賃料水準は変わるためです。
たとえば、同じ月商1,000万円の店舗でも、粗利率が高い業態と低い業態では賃料負担力が異なります。またオフィスの場合、売上との直接的な関係が店舗ほど明確でないケースがあります。
売上比率は、あくまで「自社がその賃料を負担できるか」を見る指標です。「市場に対して高いか安いか」を判断する根拠ではありません。
②成約賃料は公開情報だけでは把握しにくい
適正賃料を確認する際、多くの担当者が参考にするのは不動産ポータルサイトや募集資料になるかと思います。しかし、そこで確認できるのは募集賃料であり、実際に契約された成約賃料とは異なります。
賃料交渉やフリーレントの付与などにより、最終的な契約条件は公開情報からは見えにくいため、募集賃料だけで適正性を判断することには限界があります。
③条件補正には専門的なデータと経験が必要
同じエリアにある物件でも、面積、階数、築年数、設備、共益費、フリーレントなどの条件によって賃料は変わります。適正賃料を判断するためには、こうした条件差を考慮した比較が必要です。
しかし、どの条件をどの程度補正するべきかは単純な計算では判断しにくく、専門的なデータや実務経験が求められます。
④社内説明には客観的な根拠が求められる

担当者が「この賃料は高いと思う」と感じても、その感覚だけでは社内の意思決定につながらないことがあります。特に経営層や上司へ報告する場合は、「なぜそう判断できるのか」を客観的に説明できる根拠が必要です。
自社判断が難しい場合は「賃料適正診断」を活用する
自社だけで適正賃料を判断することが難しい場合、第三者による賃料適正診断を活用することをお勧めいたします。
募集賃料だけでは実際の成約水準や契約条件の違いまでを把握できず、適正性の判断が難しいことも少なくありません。「賃料適正診断」を活用すると、物件条件や市場水準を踏まえて、現在の賃料や貸主から提示された賃料が妥当かどうかを客観的に確認できます。
現在の賃料が妥当かどうかを客観的に確認できる
賃料適正診断では、現在の賃料が物件条件や市場水準に照らして妥当な水準かどうかを確認できます。
現行賃料が適正であると確認できれば、社内説明や更新判断の材料になります。逆に、乖離していることに気づけば、今後の対応を検討するきっかけになります。
「賃料は適正なのか」を確認する。これが診断活用の出発点です。
貸主に知られずに確認できる
賃料を確認したいと思っても、「貸主に知られると関係が悪くなるのではないか」と不安に感じる担当者もいるのではないでしょうか。
ビズキューブ・コンサルティングの賃料適正診断では、貸主に知られずに賃料の妥当性を確認できます。まずは社内判断の材料として確認する。そうした使い方ができるため、いきなり貸主と話を進めることに抵抗がある場合でも検討しやすい方法です。
診断費用は一切かからない
ビズキューブ・コンサルティングの賃料適正診断は無料で利用できます。
そのため、「まず現状を確認したい」という段階でも使いやすい診断です。
年間で約12,000件利用されており、社内説明に使える客観的な根拠が必要な場合は、早い段階で確認しておくと後の判断が進めやすくなります。特に、増額通知・更新時期・固定費見直しのいずれかが重なっている場合は、後回しにせず確認しておくほうが社内対応を進めやすくなります。
まとめ|適正賃料は相場だけでなく、物件条件と契約条件を踏まえて判断する
適正賃料とは、相場だけでなく、物件条件、契約条件、市場環境を踏まえて判断する妥当な賃料のことです。
周辺相場を見ることは有効ですが、それだけで自社の賃料が適正かどうかは判断できません。また募集賃料、成約賃料、実質賃料を混同すると、判断を誤る可能性があります。
本記事の要点を整理します。
- 適正賃料は、賃料の妥当性を確認する判断軸
- 相場は市場全体の目安であり、個別物件の適正賃料とは異なる
- 募集賃料と成約賃料は一致するとは限らない
- 共益費、フリーレント、一時金を含めた実質負担を見る必要がある
- 売上比率は参考指標であり、相場に対する妥当性の根拠にはならない
自社だけで判断が難しい場合は、第三者による賃料適正診断を活用する方法があります。
現在の賃料が妥当か、増額通知を受け入れてよいか、物件の賃料が適正かを確認したい場合は、まず無料の賃料適正診断で現状を確認してみてください。

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