内装工事
内装制限|店舗の内装時に知っておくべき対象建築物と緩和条件について
- 目次
店舗の新装や改装時の工事で、「内装制限」に関して次のようなお悩みはないでしょうか。
- 内装制限にひっかかるので、希望の内装材を使えないかもしれない
- 内装制限を理由に、工事業者が内装材を変更したら、工事額が増額してしまった
- 内装制限に対応すると、理想の店舗デザインが崩れてしまうのではないか
店舗の工事に際して、上記のような疑問や不安があるなら、制限の内容や対象となる建物の種類、緩和条件について確認しておきましょう。本コラムでは、店舗の内装工事を考えている方向けに、内装制限についてできるだけ丁寧にわかりやすく解説します。
内装制限で知っておくべきこと
内装制限に関する詳細や対応は、基本的には内装業者に判断を任せられるものです。
ただし、打ち合わせをスムーズに進めるためにも、次のポイントを押さえておくようにしましょう。
内装制限には「建築基準法」「消防法」の2つがある
内装制限に関する法律には、「建築基準法」と「消防法」の2種類があります。
内装工事を行う際は、両方の規定を守ることが必要です。特に、店舗デザインに関わる建築基準法について、十分に確認しておきましょう。
自分の店舗が内装制限の対象になるのかどうか
内装制限は、全ての建築物が対象となるわけではありません。対象となるかどうかは、建物の種類や床面積などの条件によって異なります。具体的な確認方法については後ほどご紹介いたします。
内装制限の対象なら、どの部屋・場所が該当するか
もし内装制限の対象であるなら、店舗のどの部屋や場所が規制を受けるのか、詳細を確認する必要があります。例えば、飲食店を例に挙げると、厨房は火を使用する「火気使用室」に該当するため、天井や壁の内装材が制限されます。
内装制限には緩和がある
基本的に内装制限の対象となる場合でも、条件を満たせば制限が緩和されるケースや、対象外となるケースがあります。自分の店舗で採用できる緩和策をお探しなら、内装業者へ相談することで理想の店舗デザインを実現できることがあります。
内装制限には「消防法」「建築基準法」がある
内装制限には、「建築基準法」および「消防法」の規定があります。
双方の決まりを守って、店舗の工事を行いましょう。店舗の新装・改装時に理解しておくべき知識をお伝えします。
「消防法」と「建築基準法」の内装制限は、いずれも火災によるリスクを避けることが主な目的です。
万が一建物で火災が発生した場合、被害を最小限に抑えるために制限を設けているのです。具体的には、火が燃え広がるのを遅らせたり、安全な逃げ道を確保したり、消火活動がしやすい環境を整えたりするためなどの目的が挙げられます。2つの法律による内装制限は、人命にかかわる被害や、建物の損傷を減らすことにつながります。
内装制限のうち、店舗のデザインや素材に影響を与えやすいのは建築基準法です。
建築基準法の内装制限の主な例として、「高さ1.2mを超える部分の天井と壁の仕上げに防火材料を使うこと」が挙げられます。防火材料とは、火熱が加えられても燃焼しにくく、有害な煙やガスなどを発生させない内装材のことです。性能の高い順に、「不燃材料」「準不燃材料」「難燃材料」の種類に分けられます。不燃材料は加熱開始後20分以上、準不燃材料は10分以上、難燃材料は5分以上にわたり防火の要件を満たすことが求められます。防火材料を素材に使用することで、火災による被害の拡大を防ぎ、避難や消火活動がしやすくなります。
なお、「建築基準法」や「消防法」の内装制限に違反すると、違反建築とみなされます。
懲役や罰金などの罰則が科せられるおそれがあるので、店舗の新装・改装時には、内装制限の基準に適合させるようご注意ください。
自分の店舗が内装制限の対象になるのかどうか
自分の店舗が内装制限の対象になるかは、下の簡易チャートのような流れで確認していきます。
流れを確認した後は、建築基準法上の内装制限の一覧表にて詳細を確認してみてください。
建築基準法における特殊建築物等の内装制限 一覧表
建築基準法における大規模建築物の内装制限 一覧表
内装制限の緩和について
ここまでお伝えした建築基準法の内装制限について、いくつか制限を緩和する方法があります。
理想の内装デザインを実現するために、内装制限の知識と併せて押さえておきましょう。
建築基準法の内装制限における全ての決まりにきちんと従うと、理想の内装を実現できないことが多くあります。
例えば、燃えやすい内装材の使用を制限されることで、木目を生かした風合いのデザインを採用できないというケースもが考えられます。しかし、どうしても使用したい場合、確認しておきたいのが内装制限の緩和条件です。
2020年3月6日に公布され、4月1日から施行された建築基準法の改正により、一定の条件を満たした場合に内装制限が緩和されることになりました。以下では、店舗の新装時や改装時に使える例をご紹介します。
- 天井に準不燃の材料を使って壁の制限を緩和する方法
天井と壁に難燃以上の材料を使う必要がある場合、天井に準不燃以上の材料を使うことで、壁のみ内装制限を緩和することができます。
- 設備を設置して内装制限の対象外とする方法
自動で消火を行うスプリンクラー設備や水噴霧消火設備、泡消火設備などの「消火設備」を設置すると、内装制限の対象外となります。煙を建物の外へ排出する「排煙設備」を設置した場合も、内装制限の対象外となります。
希望する店舗デザインを叶えるために、どのような緩和策を検討できるかは、店舗の状況により異なります。
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