内装工事

居抜き・スケルトンの基礎知識│特徴、違い、メリット・デメリットなどを分析比較

目次
  1. 居抜き物件の基礎知識
  2. 居抜き物件の特徴
  3. 居抜き物件のメリット・デメリット
  4. スケルトン物件の基礎知識
  5. スケルトン物件の特徴
  6. スケルトン物件のメリット・デメリット
  7. 居抜き・スケルトン問わず、入居前の注意点
  8. 契約後でも間に合う?工事関連の契約について不安な場合

店舗物件を検索していると、詳細条件に「居抜き」「スケルトン」と記載されていることがあります。
実は、入退店時のコストに大きく関わる重要なポイントであることをご存知でしょうか?
今回は居抜き・スケルトンの基礎知識として、特徴や違い、メリット・デメリットなどを分析比較します。
ご自身の店舗物件には、どちらの条件がマッチするのか参考にしてみてください。

プロ視点からのトータルサポートお問い合わせはこちらから
»空間づくりで価値を創造する|B.C.Works

居抜き物件の基礎知識

居抜き物件とは、店舗を閉めたい借主が利用していた造作・設備・什器等がついたままの物件のことです。
通常、店舗を閉めたい借主は自ら物件に設置したものを全て撤去して貸主に返却しなければなりません。
しかし、貸主の承諾が得られれば、店舗を閉めたい借主は内装や設備を残したまま、店舗を出したい借主に引き渡すことが出来ます。

居抜き物件の特徴

居抜き物件の特徴は、やはり造作・設備・什器等がついたままという点です。
飲食店や美容室などの場合、元の状態に戻す(原状回復工事)には費用と時間がかかります。
一方、貸主としても早く入居者募集をしたいため「居抜き」という方法をとり、
次の借主を探すケースが一般的になりつつあります。

居抜き物件のメリット・デメリット

居抜き物件のメリット・デメリットはどのようなことがあるのでしょうか?
「貸主」「店舗を閉めたい方」「店舗を出したい方」の3つの立場から見てみましょう。

貸主

メリット

  • 早く入居者募集ができるため空室リスクが軽減され、継続した家賃収入が見込める
  • 入居コストを抑えられるため、後継テナントが決まりやすい
  • 現在の店舗物件市場の傾向として、居抜き物件の方が人気のため、テナント価値が向上する

デメリット

  • 前借主と同じ業態しか入居者募集できないため、リーシング課題となる
  • 前借主のメンテナンス状態が悪い場合、退去時・入居時にトラブルになるケースがある
店舗を
閉めたい方

メリット

  • 原状回復義務がなくなるため、退去コストを抑えられる
  • 造作・設備・什器等を後継者に売却できれば、キャッシュインが見込める

デメリット

  • まだ営業しているのに閉店情報が漏れてしまうことがある
  • 同じ業態でしか入居ができないため、後継テナント付けの難易度が上がる
  • メンテナンス状態が悪い場合、修繕を求められるケースがある
店舗を
出したい方

メリット

  • 新装工事や設備投資が不要なため、入居コストを抑えられる
  • 工事期間が少なくなるため、入居からオープンまでの期間が短縮できる
  • 投資回収までの期間が短縮される
  • 「あそこには飲食店がある」など近隣の認知度がある程度高い状態でオープンできる

デメリット

  • 現状渡しの場合、造作・設備・什器等に不備があっても貸主側は修理補償しないケースがある
  • 厨房機器などのリースが残っている場合がある
  • レイアウトやデザインが自由にできない
  • 前借主の風評まで引き継ぐ可能性がある(近隣トラブルなど)
居抜き物件のメリット・デメリット(ビズキューブ・コンサルティング株式会社作成)

スケルトン物件の基礎知識

スケルトン物件とは店舗を閉めたい借主が利用していた造作・設備・什器等が一切なく、ビルの設備しかない物件のことです。
通常、店舗を閉めたい借主は自ら物件に設置したものを全て撤去して貸主に返却しなければなりません。
そのため、店舗を閉めたい借主はスケルトン状態に戻す「原状回復工事」が必要ですし、
店舗を出したい借主は入居に伴う「内装設備工事」が必要です。

スケルトン物件の特徴

スケルトン物件の特徴は、文字通り「骨組み」だけの状態のため、
レイアウトやデザインなど好きにカスタマイズできる点です。
ブランドイメージなどこだわりのある場合、スケルトン物件はとても魅力的な条件になります。

スケルトン物件のメリット・デメリット

スケルトン物件のメリット・デメリットはどのようなことがあるのでしょうか?
「貸主」「店舗を閉めたい方」「店舗を出したい方」の3つの立場から見てみましょう。

貸主

メリット

  • 様々な業種業態で入居者募集ができるため、幅広いリーシングが可能
  • 前借主とまったく異なる業種業態に限定するなど、後継テナントの選択が可能

デメリット

  • 後継テナントが見つかるまでの期間が長くなる傾向がある
  • フリーレント期間を設ける場合、家賃収入が滞る
店舗を
閉めたい方

メリット

  • 様々な業種業態で後継テナント付けが可能

デメリット

  • 原状回復義務があるため、退去コストが発生する
  • 退去日が決まっているため、工事などのスケジュールにゆとりを持たせる必要がある
  • 営業はしていないが、賃料は発生している期間が長くなる傾向がある
店舗を
出したい方

メリット

  • 必要な分だけ新品の設備を導入できるため、自店でのメンテナンス管理が容易
  • レイアウトやデザインが自由にできる

デメリット

  • 新装工事や設備投資があるため、入居コストが発生する
  • 工事期間によっては、入居からオープンまでの期間が長くなる場合がある
  • 前借主とまったく異なる業種業態の場合、近隣の認知を高める必要がある
スケルトン物件のメリット・デメリット(ビズキューブ・コンサルティング株式会社作成)

居抜き・スケルトン問わず、入居前の注意点

入居時はやらなければならないことがたくさんあります。
特に入居時の物件チェックや契約書周りなどは、しっかり確認しておきたいものですが、契約後に様々な問題が発覚することも少なくありません。
「あのとき、しっかり確認しておけばよかった」と、入居後のトラブルを未然に防ぐためにも、特に注意した方がいいポイントをお伝えします。

排水管の詰まり

前借主が飲食店だった場合注意すべきポイントです。
通常飲食店を運営する際、シンクと排水管の間にはグリストラップという濾過装置があります。
グリストラップの設置は下水道局の管轄のため、家主に強制力はなく、結果としてグリストラップを設置せずに飲食店を営業している店舗も多く存在します。
また、排水管の清掃・修繕は原状回復工事の範囲に内包されていない場合があり、入居後トラブルに発展することが多い事例です。予防法として、あらかじめ排水管の高圧洗浄を行うことを条件に入居するなど、契約時に家主と協議し、賃貸借契約書や覚書など書面に残すことをおすすめします。

近隣トラブル

近隣トラブルは問題解決に要する時間・コストが大きな負担になる問題のひとつです。
前借主が近隣トラブルを抱えていた場合、その風評をそのまま引き継いでしまったり、改善を訴えても前借主が取り合わないので半ばあきらめていたところに、店の所有者が変わったと聞きつけ改めてクレームを言いにきたり、貸主では把握しきれていない場合も多くあります。 契約前に、近隣に住まわれている方へ直接お伺いしたり、近くの同業他社店舗に前情報の聞き込みなどをおこなったり、情報収集されることをおすすめします。

修繕・退去時などの取り決め

店舗テナントで工事が発生するタイミングは概ね、
①入居時②改装時③退去時の3回といわれています。
本来は工事における様々な視点で家主と取り決めをしてから入居するのですが、曖昧なまま契約をしてしまうケースも少なくありません。

  • 工事の費用はどちらが負担するのか
  • 借主が負担する工事の区分はどの範囲か
  • 経年劣化、通常損耗(そんもう)、特別損耗の範囲はそれぞれどこか

入居時に工事範囲の取り決めをして、工事区分表や覚書などの書面で締結しておくと、後々トラブルに発展しにくくなります。

契約後でも間に合う?工事関連の契約について不安な場合

  • 引継ぎが上手くいっておらず、入居時の契約内容がよくわからない
  • 家主から提示された見積書が高いけど、関係性が心配で強く言えない
  • 設備改装したいけど、貸主に負担してもらえるかわからない
  • 工事区分表がなくて困っている
  • 退去時、どのくらいの割合で自社負担になっているか不安

このような不安やお悩みをお持ちの場合、ご自身で悩まれるより、専門家の意見を参考にした方が解決の糸口が早く見つかることもあります。
ビズキューブ・コンサルティング株式会社は、「店舗経営をビッグデータで支援」を事業ドメインに掲げ、
企業さまの店舗運営における各種業務をワンストップでご支援しております。
まずはお気軽にご相談ください。

プロ視点からのトータルサポートお問い合わせはこちらから
»空間づくりで価値を創造する|B.C.Works