内装工事
「重飲食」の定義は?│「軽飲食」との比較、重飲食不可物件をOKにするコツなどを解説
飲食店を出店するとき「重飲食可能」かどうかを選定指標のひとつとしているお客様も多いかと思います。
自身が飲食店ではなかったとしても、前の借主が飲食店であった場合、「重飲食業であったか」は気になるポイントです。
今回は「重飲食」の定義と併せて「軽飲食」との比較、重飲食不可物件を「OK」にするコツなどを解説します。
「重飲食」「軽飲食」の区分ポイントは?
そもそも「重飲食」「軽飲食」に明確な定義がナイということをご存知でしょうか?
どの業態が「重飲食」に分類されるかは、貸主によって異なりますが、特別な排水・排気設備が必要かどうかを区分の目安にして差し支えないと考えられています。
「軽飲食」に区分されることが多い業態
お酒やコーヒーなどドリンクメインでメニューが構成されていたり、大がかりな調理を行わず食品を提供する飲食店が「軽飲食」に該当することが多いです。
- カフェ・喫茶店
- バー
- スナック
- ドリンクスタンド
- サンドイッチ・おにぎりなどの軽食専門店
「重飲食」に区分されることが多い業態
大量に排水・排気をしたり、煙や匂いが大量に出やすい飲食店が「重飲食」に該当することが多いです。
- 焼肉店
- 焼き鳥店
- たこ焼き・鉄板焼き・お好み焼き店
- そば・うどん・ラーメン店
- 中華料理店
「重飲食」がNGになりがちな理由
理由1:建物の構造・仕様上、不可能のため
「重飲食」に該当する飲食業は、大量に排水・排気をしたり、電気容量が大きかったり、通常の設備では対応できないため「重飲食NG」となる場合があります。
理由2:油汚れで原状回復が大変になるため
「重飲食」に該当する飲食業は、油を使った料理を提供することが多いです。
排気にも油分が含まれているためダクトや外壁が汚れやすく、修繕サイクルも早い傾向があります。
また油汚れが原因で、原状回復工事に時間を要してしまい、空き店舗期間が長期化する可能性があるため、貸主によっては「重飲食NG」としている場合があります。
理由3:水・火にまつわる事故やトラブル回避のため
油を使った料理を提供すれば、油で汚れた調理器具や食器を洗うので、排水口の詰まりが起きやすくなり、汚水が溢れて直下階に漏れるというトラブルはよくあります。
また、ダクト内の油汚れに引火しての火災事故は都内でも年間20件以上報告されています。(出典:一般社団法人日本空調システムクリーニング協会「ダクト火災にご用心」)
このような事故やトラブルを回避するために、貸主によっては「重飲食NG」としている場合があります。
理由4:近隣トラブル回避のため
「重飲食」に該当する飲食業は、煙と臭いが大量に店外に排出されるため、近隣トラブルになることも少なくありません。
近隣トラブルは長期化する傾向もあるため、未然に回避するために、貸主によっては「重飲食NG」としている場合があります。
飲食業不可のテナントで飲食店出店を進めるコツ
とても魅力的なテナントを見つけたけど「飲食不可」だった場合、諦めるしかないのでしょうか?
先にも解説したとおり、「飲食不可」の起因は①テナント起因、②オーナー起因の2パターンなので、
これが解決できれば、飲食店として入居できる可能性があります。
コツ1:テナント設備を整えられるか確認する
例えば、「借手側で費用負担をして、ダクトを屋根まで設置できればOK」など、
設備が整えられるのであれば許可をもらえることがあります。
他にもシロッコファン、グリストラップ、各種フィルターなど、重飲食店として必要な設備はたくさんあるので、
出店後の売上予測と比較してみて、設備投資をしてでも入居すべきテナントなのか検討することをおすすめします。
コツ2:敷金や保証金の増額で対応してもらえるか確認する
原状回復工事費用や、事故などで発生する修繕費用がネックになっている場合、
敷金や保証金を増額することで許可をもらえることがあります。
敷金と保証金の違いですが、敷金は「賃貸借契約」に付随する金銭であるのに対し、保証金は賃貸借契約とは別に締結された「金銭消費貸借契約」とみなされる場合があります。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、どちらの条件で納めるのか貸主と協議する必要があります。
コツ3:重飲食のマイナスイメージを払拭する
重飲食=汚れる・汚いというイメージを払拭することで許可をもらえることがあります。
- ラーメンのスープは別の場所で仕込む
- にんにくや香辛料を使用するメニューを減らす
- 家庭用レベルの調理器具しか使用しない
貸主や管理会社の不安がどこにあるか、払拭するにはどのような方法があるか、時間をかけて協議することで解決することもあります。
コツ4:軽飲食で折り合いをつける
「煙がモクモク立ち込めるような飲食店はちょっと・・・」と、協議が平行線になってしまった場合、思い切って軽飲食で折り合いをつけるのも一案です。
例えば、昼はカフェ・夜はハブなど、まったく客層の異なる二毛作ビジネスができます。
また万が一、出店したジャンルが上手く軌道に乗らなかったとしても、短期間で別なジャンルへ切り替えることもできます。
工事に関する取り決めを忘れずに
先にも既述しているとおり、飲食店経営において工事に関する費用は、一時的なものとはいえ、かなりのウエイトを占めるコストと扱われることが多いです。
特に汚れてしまった内装をキレイにする時や、退去時の原状回復工事の時に、貸主指定の工事会社から高額な見積書を提示されて、驚かれたことはありませんか?
- 壁紙の一部だけでいいのに、全部貼り変えないとダメなの?
- 元から備わっている設備なのに、自社負担なの?
- 他の工事会社に比べて、単価が高い気がする
このような不安やお悩みをお持ちの場合、ご自身で悩まれるより、専門家の意見を参考にした方が解決の糸口が早く見つかることもあります。
ビズキューブ・コンサルティング株式会社は、「店舗経営をビッグデータで支援」を事業ドメインに掲げ、企業さまの店舗運営における各種業務をワンストップでご支援しております。まずはお気軽にご相談ください。