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店舗の固定費削減を行うには?費目別の目安とポイント、注意点

店舗の経営状態を改善する際、まず見直したい部分が固定費です。固定費は、月の売上にかかわらず一定額が発生することから、売上が低迷した場合に負担が大きくなります。適正な固定費の目安を参考に、店舗の現状を把握し、削減へ向けた取り組みを始めましょう。

本コラムでは、店舗の固定費削減の基礎知識から、適正な割合の目安、費目別の削減のポイントまで徹底解説します。固定費削減で注意するべき点や、おすすめのサービスにも触れるため、ぜひお役立てください。

固定費の基礎知識

店舗の経費に見直しが必要なとき、最初に確認したいのが「固定費」の部分です。固定費とは、店舗運営におけるどのお金を指すのでしょうか。また、どのような理由から固定費の削減が有効と考えられているのでしょうか。はじめに固定費に関する基礎知識を解説します。

固定費とは

固定費とは、定期的に発生する一定金額の支出のことを指します。店舗経営においては、店舗の賃料のほか、人件費、水道光熱費、広告宣伝費などの出費が該当します。固定費は、月々の売上金額に変動があったとしても、金額は変わらないのが特徴です。そのため、万が一売上が大幅に減った場合に負担が大きくなりやすい費用だといえます。

固定費と変動費の違い

変動費とは、売上にともない月ごとに金額が変動する支出のことです。前述の固定費が売上にかかわらず一定金額を支払うのに対して、変動費は売上の増減にともない金額も増減する特徴があります。変動費の例として挙げられるのは、売上原価・外注費・消耗品費などです。

固定費削減の重要性

店舗の経費を見直す際は、まず削減効果の高い固定費の項目から取り組むのが基本です。固定費は売上にかかわらず発生する費用のため、毎月の固定費を抑えられると、結果として年間で多くの金額を削減できて節約効果が比較的高いといえます。その一方で、変動費を削減すると売上に悪影響を与えるおそれがあるため注意が必要です。まずは根幹的な費用である固定費から優先的に見直すようにして、健全な経営状態を目指しましょう。

固定費の目安

店舗経営における適正な固定費の目安と、固定費削減の効果測定に役立つ損益分岐点についてご説明します。損益分岐点は、店舗の現状を把握するうえで役立つ指標です。

店舗経営にかかる固定費の目安

店舗の固定費が適正な状態であるかは、売上に対する割合を基に判断できます。数値の目安は、店舗の業態によっても異なります。ここでは、代表的な固定費である家賃・人件費・水道光熱費の例をご紹介しますので、それぞれの目標値を店舗の現状と比較してみましょう。

まず、家賃は売上の 10% 以下に留めるのが望ましいとされています。人件費は、店舗の維持費のうち大部分を占める費用です。飲食業の場合は売上の 30~40% 、サービス業の場合は売上の 40~60% 、小売業の場合は売上の 10~30% が適正とされています。水道光熱費は、店舗の業態にもよるが売上の 10% 以下が目安とされます。

現在の固定費から割合を算出し、経費削減の目標が適正であるかご確認ください。

損益分岐点の計算方法

損益分岐点とは
損益分岐点は、経営が黒字になる売上高の境目を指します。損益がゼロのポイントを超えると、経費を収益でまかなえる状態となります。固定費削減の効果を測定するうえで重要な指標です。以下の計算式で試算して、店舗の目標を確認してみましょう。
損益分岐点の計算式
損益分岐点は、「 固定費 ÷ { 1 – ( 変動費 ÷ 売上 ) } 」の計算式で算出できます。たとえば固定費が 120万円 、変動費が 40万円 、売上が 200万円 の店舗の場合、損益分岐点は 120万円 ÷ { 1 – ( 40万円 ÷ 200万円 ) } で 150万円 となります。損益分岐点は自分で簡単に算出できるため、固定費削減の施策を検討する際は、ぜひ参考にお役立てください。

損益分岐点 = 固定費 ÷ { 1 – ( 変動費 ÷ 売上 ) }

【費目別】固定費削減のポイント

固定費は、費目ごとに特徴や有効な節約術などが異なります。こうした費目別の傾向を掴み、効果的な施策を検討することで、費用を適正化できる可能性があります。運営する店舗の状況に応じて、削減に取り組みましょう。以下では、固定費削減のポイントを費目別にご紹介します。

家賃(賃料)

店舗の家賃は、固定費のなかでも特に金額の負担が大きい項目の一つです。2020年以降は、新型コロナウイルス感染拡大による影響を受けて、多くの店舗型ビジネスで賃料の負担が課題となりました。こうした背景から、賃料適正化へのニーズが高まっています。店舗の家賃を削減する方法として、移転による店舗規模の縮小や賃料交渉といった施策が挙げられます。

移転による店舗規模の縮小の際は、一定期間家賃が無料になるフリーレントの物件を探すのも良いでしょう。さらに、居抜き物件では、出店時にかかる内装や設備などの費用を抑えられるのもメリットです。

同じ物件へ入居し続けるケースでは、貸主へ家賃交渉を行うのも一つの手です。ただし、家賃交渉では双方にとって良い結果をもたらすために、戦略をもって貸主を納得させる必要があります。事前に交渉の流れを計画し、慎重に判断することが大切です。

人件費

人件費は、主に従業員に支払う費用のことです。スタッフの給与や賞与のほか、厚生年金や医療保険といった社会保険料、交通費の支払いも人件費に含まれます。さらには、従業員の教育費や採用コストなども人件費として意識していく必要があるでしょう。近年の採用市場では、働き手不足により企業間の競争が激化し、採用コストが高まる傾向にあります。そのため、従業員が離職した場合、新たに人を雇うコストが高くなる点に注意が必要です。

人件費削減の施策では、業務効率や生産性の向上、システム導入による自動化などの削減方法に取り組むと良いでしょう。また、アウトソーシングの活用による時間外労働の抑制がコスト削減につながることもあります。現状の課題を踏まえて最適なサービスの導入を検討しましょう。

なお、人件費削減の目的で従業員の給与をカットするのは、一般的に望ましくない方法とされています。その理由は、働き手のモチベーションが下がるおそれがあるためです。給与カットにより一時的に経営が好転したように見えたとしても、長期的にはデメリットが多いと考えられています。店舗業務のオペレーションに支障が出たり、従業員の離職率が高まったりする可能性もあります。離職の増加は、教育・採用コストの負担増にもつながりかねないため、リスクがない施策を検討しましょう。

また、これらの他にも、従業員に社用携帯として貸与するスマホの通信費やインターネット料金なども固定費に含む場合があります。その場合は大手キャリアだけでなく、格安SIMや格安スマホも検討しましょう。

人件費削減を実現するには?主な手法と適正コストを知るための指標
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水道光熱費

水道光熱費は、店舗で使用する電気・ガス・水道の料金です。月額料金の内訳は、主に「基本料金」と「従量料金」で構成されています。このうち基本料金は、毎月一定額を支払うもので、使用しなくても発生します。それに対して従量料金は、電気・ガス・水道の使用量に応じて加算されます。したがって、水道光熱費のうちでコスト削減がしやすいのは、従量料金の部分です。

電気料金の従量部分は消費電力にあたるため、店舗の照明を省エネ効果の高い LED に交換したり、エアコンや冷蔵庫など設備の使い方や節電設定を見直したり、こまめにスイッチを切るなどしたりして消費電力を抑えましょう。また、契約する電力会社や料金プラン、契約プランを変更することで、電気代が安くなる可能性もあります。電力自由化により新電力と呼ばれる会社が誕生しており、電力会社によって料金体系は変わり、基準となる電力量 (kWh) の条件も異なります。従って、使用状況にあったプランに契約を見直し・切り替えや、契約会社の乗り換えも検討しましょう。同様に、ガス代もガス会社や調理器具の見直し、電力などとのセット割による割引で利用料を削減できる場合があります。また、料金プランの見直しで効果が出る場合もありますので確認しておきましょう。水道代は特に飲食業の場合は、水の使いすぎなどで無駄が生じやすい費目といえます。必要に応じて節水コマを導入したり、節水につながる食洗機などの設備を導入したり、こまめに栓を閉めたりなどして、水道の使用量削減に努めましょう。

広告宣伝費

広告宣伝費は、店舗の商品・サービスを不特定多数の消費者へ広く知らせるための費用を指します。主な例として、各種メディアの広告費用、Webサイト・パンフレット・看板の制作費用などが挙げられます。売上を獲得するために、より多くに顧客に認知してもらう必要のある店舗型ビジネスにおいて、重要な費用の一つです。その一方で、十分な効果が見込めない場合は、数ある固定費のなかでもコスト削減の対象となりやすい部分といえます。

固定費削減時の注意点

固定費削減の施策は、店舗の経営状態を向上させる効果が期待できる反面、注意点もあります。さまざまな費用の減額により、店舗で働く従業員が影響を受けるおそれもあります。働き方が変わることで、ストレスを感じてしまう人も少なくありません。次の点に注意して取り組みましょう。

長期的に取り組むようにする

固定費削減は短期間のアプローチでは達成しにくいといえます。施策を成功へ導くには、経費の無駄をコツコツと減らし、継続して取り組みましょう。その際は、固定費削減と同時に、売上向上に取り組む方法も有効です。利益が増えることで経営状態を改善しやすくなります。

従業員のモチベーションを低下させないよう注意する

固定費削減に基づく社内オペレーションの変更などで、従業員が不満を感じることがあります。コスト削減が既存の従業員のモチベーションに直結する仕組みを作れると理想的です。たとえば、コスト削減効果に応じたインセンティブを設定したり、固定費削減への取り組みを人事評価に含めたりする方法があります。

無理なコスト削減策を断行しない

固定費のなかには、店舗の売上に関連し、削減すべきでない項目も存在します。こうしたコストを無理に削減してしまうと、商品・サービスの品質が低下したり、業務上の安全性を確保できなくなったりするリスクがあります。固定費を削減する際は、無駄な部分を見極め、適切な方法で改善を目指しましょう。

固定費削減の意義を社内に周知するようにする

固定費を削減するには、店舗で勤務する従業員の協力が欠かせません。従業員の視点に立ち、事前に共有すべき事項を検討する必要があります。コスト削減により自社にどのような利益がもたらされるのか、従業員にはどのようなメリットがあるのか、社内で周知して連携体制を整えましょう。

今、お支払いの賃料ですが適正価格よりも多く払っている可能性があります

固定費削減する際は、家賃(賃料)から取りかかりましょう。従業員のモチベーションにも売上にも影響を与えません。ですが、無理な削減交渉は貸主との関係悪化につながります。

そこでおすすめなのが、ビズキューブ・コンサルティングが提供する賃料適正化コンサルティングです。こちらのサービスでは、現在、契約中のテナントの賃料と適正価格との乖離状況調査、貸主との賃料交渉のサポートなどを行います。創業から培ってきた約13万件という膨大な賃料データを基に、経験豊富な専門スタッフが徹底的にサポートいたします。コスト削減でお悩みの際はお気軽にご相談ください。

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