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【業界別動向】フィットネス業界のコスト削減策!運営費用を見直すためのヒントを紹介
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健康志向の高まりやライフスタイルの多様化を背景に、フィットネス業界は成長を続けてきました。しかしながら、近年では競争激化や光熱費の高騰、人材不足などにより、多くのフィットネスクラブが収益確保に苦戦しています。こうした状況下において、収益構造を改善し、持続可能な経営体制を構築するためには「コスト削減」の実施が不可欠な取り組みとなっています。
本記事では、フィットネス業界におけるコスト削減策として、業界の最新動向を踏まえ、具体的な方法や成功事例、そして今後の展望について解説していきます。
変化への対応が収益改善の鍵!最新の業界別動向
2023年度のフィットネスクラブの倒産件数は、2月までに28件に達し、すでに過去最多だった2022年度の16件を超えています。このままのペースで進むと、2023年度は30件を超える可能性が高いです。
倒産が増えている背景には、競争激化による「販売不振」があります。2023年度の28件のうち、20件(71.4%)が販売不振によるものです。
フィットネスクラブは、高価格帯で設備やトレーナーが充実したクラブと、一部のトレーニングマシンを設置した低価格帯のクラブに二極化しています。市場自体は健康志向の高まりで拡大していますが、「ChocoZAP」やグローバル展開する大手クラブと、地元の中小企業の間で、価格や設備を前面に押し出した顧客獲得競争が激化しています。
経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、2023年のフィットネスクラブの利用者数は延べ2億1,679万人で、前年比3.0%増加しています。しかし、事業所数は1,497カ所で、前年より0.2%減少しました。テナント代や光熱費、人件費の上昇、広告や設備への先行投資が重荷となり、今後も採算が取れないクラブの淘汰が続くと考えられます。
参照:フィットネスクラブの倒産が急増、過去最多を更新中 サービスの差別化で競争激化、投資とコスト増も負担(東京商工リサーチ)
近年のフィットネス業界は、顧客ニーズの多様化やデジタル化の進展など、目まぐるしい変化に直面しています。従来型の総合型ジムに加え、パーソナルジム、ヨガ・ピラティススタジオ、24時間営業ジムなど、専門性の高い施設も増加し、競争は激化しています。
24時間型ジムで、若年の男性層をターゲットに成長しているのがFast Fitness Japan(FFJ)です。店舗数は2023年3月末で1,068店舗に達し、2018年3月末の318店舗から5年で3倍以上に増加しました。プールやスタジオ、温浴施設などの設備を省き、トレーニングマシンに特化することで初期投資を抑え、急速な店舗拡大を実現しています。約8割の店舗がフランチャイズチェーン(FC)店です。
参照:フィットネスジム、若年層拡大で巻き返し 初心者が支持(日経新聞)
また、オンラインフィットネスの普及も無視できないトレンドです。コロナ禍で需要が高まったオンラインサービスは、場所や時間に縛られない利便性から、現在も多くのユーザーを獲得し続けています。
こうした状況下で生き残りを図るためには、最新トレンドをいち早く捉え、柔軟に変化に対応していくことが重要です。例えば、
最新鋭マシン導入や人気プログラム導入による差別化
オンラインサービスとの連携による顧客満足度向上
顧客ニーズに合わせた多様な料金プランの設定
など、時代の変化に合わせた戦略が収益改善の鍵となります。
人材不足を解消し、生産性向上!業務効率化による経費削減
フィットネス業界における人材不足は深刻化しており、人件費の高騰も経営を圧迫する要因となっています。そこで、業務効率化による人材不足の解消と生産性向上が、コスト削減において重要な役割を果たします。具体的な業務効率化の例は、以下の4つです。
予約・顧客管理システム導入による受付業務の効率化
フィットネスクラブの受付業務は、会員の予約管理や問い合わせ対応など多岐にわたります。これらを手作業で行うとミスが起きやすく、時間もかかってしまいます。そこで、予約・顧客管理システムを導入することで、業務の効率化が可能です。
システムを導入すると、会員情報を一元管理でき、予約の確認や変更がスムーズになります。また、問い合わせにも迅速に対応できるため、顧客満足度も向上します。さらに、受付スタッフの負担を軽減できるので、人件費削減にもつながります。
クラウド型のサービスを利用すれば、24時間オンライン予約も可能で、初期費用を抑えつつ導入が可能です。業務効率化と顧客サービスの向上を両立するため、導入を検討してみてください。
勤怠管理システム導入による給与計算業務の簡素化
フィットネスクラブの運営において、スタッフの勤怠管理は欠かせない業務の一つです。特に、シフト制で働くスタッフが多い場合、勤務時間の集計や給与計算に多くの時間を要します。こうした業務を手作業で行うことは、非効率であるだけでなく、ミスを起こすリスクも高くなります。
そこで、勤怠管理システムを導入すれば、勤怠データの自動集計や給与計算の自動化が可能となります。スタッフ自身がシフトの申請や変更を行える機能があるものを導入すれば、マネージャーの業務負荷を大幅に軽減できます。また、勤怠データをリアルタイムで把握できるため、労務管理の適正化にも役立ちます。
勤怠管理システムは、クラウドサービスとして提供されているものが多く、導入コストも比較的低く抑えられます。給与計算業務の簡素化を実施し、業務効率の向上と人件費の削減を実現しましょう。
清掃業務の外注化
フィットネスクラブの衛生管理は、会員の満足度に直結する重要な要素です。しかし、清掃業務は手間と時間がかかるため、スタッフが行うと本来の業務に支障をきたす恐れがあります。また、高い清掃スキルを持ったスタッフを揃えるのも難しいでしょう。
そこで、清掃業務を外注化することで、業務の効率化と品質の向上を図ることができます。清掃会社は、高度な技術と専門の設備を持っているため、短時間で高品質な清掃が可能です。また、定期的な清掃により、施設の美観を保つことができれば、会員の満足度アップにもつながります。
清掃業務の外注化は、人件費の削減にも効果的です。スタッフが清掃に割く時間を他の業務に充てることができるため、人的リソースの最適化が図れます。衛生管理の重要性を踏まえつつ、業務効率化の観点から、清掃業務の外注化を検討してみてはいかがでしょうか。
トレーニングメニュー作成のデジタル化
フィットネスクラブにおいて、会員一人ひとりに合ったトレーニングメニューを提供することは、顧客満足度の向上には必須です。しかし、個別のメニュー作成は、トレーナーにとって時間と手間がかかる作業です。また、紙ベースのメニュー管理では、変更や更新に手間がかかり、情報共有も難しくなります。
そこで、トレーニングメニュー作成をデジタル化することで、業務の効率化が図れます。専用のソフトウェアやアプリを活用すれば、会員情報や目標、体力レベルなどを入力するだけで、最適なメニューを自動生成できます。また、メニューのデータベース化により、トレーナー間の情報共有がスムーズになり、会員へのサービス品質の均一化も図れます。
デジタル化により、トレーナーの業務負荷を軽減できるだけでなく、会員へのサービス品質の向上にもつながります。また、紙の使用量を削減できるため、環境面でのメリットもあります。トレーニングメニュー作成のデジタル化は、業務効率化と顧客満足度の向上を両立するための有効な手段と言えるでしょう。
これらの業務効率化によって、従業員はより顧客対応やトレーニング指導などのコア業務に集中できるようになり、顧客満足度向上にもつながります。また、無駄な残業時間の削減にもつながり、人件費削減だけでなく、従業員のワークライフバランス改善にも貢献します。
コスト削減の具体的な施策を紹介
ここでは、コスト削減に成功したフィットネスクラブの事例を具体的に紹介します。
効率的なエネルギー使用による光熱費の削減
フィットネスクラブの光熱費は、運営コストにおいて大きな割合を占めることが少なくありません。エネルギー効率の高い設備に切り替えることで、コスト削減が可能です。例えば、LED照明の導入や省エネ型エアコンの利用、さらには自動センサーによる電力管理を行うことにより、大幅な光熱費削減が実現できます。さらに、太陽光発電の導入を検討することで、長期的には電力費の大幅なカットが期待できるでしょう。これらの取り組みは、環境負荷を減らすだけでなく、持続可能な経営にも寄与します。
供給品の購入およびストック管理の見直し
供給品や備品の管理効率を高めることも、コスト削減に直結します。購買先やサプライヤーとの交渉を見直し、より良い取引条件を引き出すことで、経費を削減できる可能性があります。また、在庫管理システムを導入し、無駄なストックや不足を防ぐことも重要です。在庫管理を最適化できれば、在庫コストを削減し、資金の効率的な運用が可能となります。定期的なレビューを行い、購入パターンのデータに基づいた最適な発注を行うことで、供給品の管理をさらに強化することができます。
適切なスタジオ活用で稼働率向上!多目的スペース活用で収益アップ
フィットネスクラブのスタジオは、ヨガやダンスなどさまざまなプログラムを提供できる魅力的な空間ですが、稼働率が低い時間帯も存在します。スタジオの稼働率向上は収益拡大につながる重要なポイントとなるため、顧客ニーズに合わせた幅広いジャンルのプログラムを提供し、多様な顧客層を獲得していく必要があります。また、利用者が少ない時間帯は料金を割引くなどして需要を喚起したり、空いている時間帯に外部団体や個人にスタジオをレンタルスペースとして貸し出したりすることで新たな収益源を創出できます。さらに、スタジオレッスンをオンライン配信すれば、場所の制限なく顧客を獲得し、収益機会を拡大できるでしょう。このように、スタジオを有効活用することで、顧客満足度向上と収益拡大を同時に実現できます。
新店舗展開の戦略:コスト意識を持った計画策定
コスト削減によって生まれた資金を元に、新規出店を検討する企業も多いでしょう。しかし、闇雲に店舗を増やすのは失敗しやすいため、綿密な計画と市場調査に基づいた戦略的な出店が重要です。
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新店舗展開に向けた効果的な戦略
新店舗展開に向けた効果的な戦略として、まずは徹底的な市場調査が不可欠です。地域の人口動態、競合状況、顧客ニーズなどを分析し、最適な立地を選定することが重要です。
また、初期費用を抑えるために、居抜き物件の活用や、必要最低限の設備投資を行うことも効果的でしょう。
さらに、リアル店舗とオンラインサービスを融合させた新たなサービス展開により、顧客の利便性を高め、店舗の価値を向上させることができます。
これらの戦略を組み合わせることで、投資対効果の高い新店舗展開を実現できます。
費用対効果分析と収益改善:データに基づいた意思決定
コスト削減や新店舗展開の効果を最大化するためには、費用対効果分析を行い、データに基づいた意思決定を行うことが重要です。
費用対効果分析の必要性と具体的な方法
費用対効果分析は、より効率的な経営を実現するために不可欠なプロセスです。この分析では、まず顧客獲得単価を検討し、顧客獲得にかかった費用を詳細に分析することで、費用対効果の高い集客方法を特定します。
続いて、一人の顧客が生涯を通じて企業にもたらす収益である顧客生涯価値を算出し、顧客維持のための戦略に活用します。
それに加えて、設備投資にかかった費用を回収するまでの期間を算出する設備投資回収期間の分析も重要であり、これをもとに、より合理的な投資判断をしていきます。これらの分析結果に基づいて、施策の見直しや改善を繰り返し行うことにより、企業は着実に効率的な経営を実現できます。
まとめ:フィットネス業界における持続可能なコスト削減策
本記事では、フィットネス業界におけるコスト削減策として、賃料見直しをはじめ、業務効率化などを紹介してきました。
重要なのは、
自社の課題や状況を把握し、最適なコスト削減策を組み合わせる
最新動向や顧客ニーズを捉え、柔軟に対応していく
データに基づいた意思決定を行い、効果検証と改善を繰り返す
これらのポイントを踏まえ、持続可能な経営体制を構築していくことが重要です。
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