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テナント賃料の値上げタイミングはいつ?成功率を高める判断軸と進め方

- 目次
賃料値上げはどんな状況で検討すべきか?
賃料値上げを検討する場面は、「市場性(周辺相場)」と「テナントの事業性」の両面から合理的に判断することが重要です。
根拠なく上げるのではなく、成功確度が高い状況を押さえておくことが、実務上のリスクを軽減します。
以下は、賃料改定を検討しやすい代表的な4つの状況です。
値上げ成功の可能性が高い4つの状況と判断軸
| 判断軸 | 状況の例 | 実務上の見極めポイント |
| ① 周辺相場との乖離 | 新築施設の開業、駅前再開発などで地価上昇 | 募集賃料と成約賃料の差を比較して割安か確認 |
| ② 更新が複数回続き据え置き | 2〜3回更新したが賃料見直しなし | 更新時は合意交渉が前提となり対応しやすい |
| ③ テナント事業の好調 | 売上・客数が継続的に増加 | 賃料比率(賃料÷売上)の変化をチェック |
| ④ 物件価値の向上 | エントランス改修や設備更新 | 投資回収として合理性を説明できる |
①周辺相場と乖離している(募集賃料・成約賃料差の確認)
開業当初よりエリア価値が上がっているにもかかわらず、賃料が据え置かれている状況です。市場データを根拠にしやすいため、合意形成につながる可能性が高まります。
例:
- 新しい商業施設の開業で来街者が増加
- 同一エリアの成約坪単価が上昇傾向
②更新回数が増え、賃料見直しが遅れている
商業テナントは長期占有が一般的で、見直しが遅れやすい領域です。
更新契約は交渉の自然なきっかけとなり、双方が見直しに向き合いやすい局面です。
③テナント事業が好調で負担余力が高まっている
売上の伸長に伴い賃料負担余力が高まるため、値上げが合理的と判断しやすい局面です。
飲食・物販では、売上に対する賃料の比率(賃料比率)が低下していると、業態にもよりますが、一般的に賃料負担余力が高まりやすいと整理できます。
例:
- 繁忙期状態が継続
- ブランド認知向上により客単価アップ
④物件価値が向上し競争力が上がっている
建物改修や設備投資により、競争力が向上した場合は賃料改定の根拠になり得ます。
例:
- EV更新、空調更新、防犯設備強化
- 看板・サイン計画や外観リニューアル
複数の要因が重なるほど、賃料改定の成功率は高まります。
判断に迷う際は、市場データ(相場)×契約条件×事業状況を整理して検討することが有効です。
ただし、状況が整っていても「交渉を切り出すタイミング」を誤ると成功確率は大きく下がります。
賃料改定の成功は、①状況(上げられる根拠) × ②タイミング(成功しやすい局面)の2軸で決まります。
この両方が揃った瞬間が、最も勝ちやすいタイミングです。
次に、成果が出やすいタイミングの考え方を整理します。
値上げが成功しやすい3つのタイミング
商業用不動産の賃料改定は、「どのタイミングで切り出すか」によって成功率が大きく変わります。
更新時期、需要動向、契約条項、テナント依存度など、実務上の交渉力に直結する局面を押さえることが重要です。
まずは、貸主が主導しやすい代表的な3つのタイミングを整理します。

値上げ成功の確度が高まる3つのタイミング
| タイミング | 背景 | 実務メリットの例 |
| ① 更新時期 | 契約条件見直しの節目 | 条件見直しの議論を切り出しやすい節目となる |
| ② 需要が高まる時期 | 代替テナントを確保しやすい | 「空室リスク」が低いため交渉力が高い |
| ③ 契約改定条項に基づき協議できる状況が整った時 | 賃料改定に関する協議の根拠が契約内にある | 契約条項を根拠として協議できる |
①更新時期は交渉余地が最大化しやすい局面
賃貸借契約の更新は、双方が契約内容を見直す節目です。
特に市場との乖離が大きい場合、合理性を示して合意形成につなげやすい局面です。
例:
- 2~3年更新で2回目以降 → 市場価格とのズレが蓄積
- 前回据え置かれており改善余地がある
②市場競争力が高い時期(空室リスクが低い局面)
需要が高まる時期は、代替テナントを確保しやすく、撤退されても賃料収入の途切れリスクが小さくなります。
市場状況次第ではありますが、貸主側の交渉力が相対的に高まりやすいタイミングです。
例
- 駅前再開発により人流が増加
- 商業施設リニューアル直後
③契約改定条項が活用できる時期
契約書に賃料改定に関する条項(賃料改定条項)がある場合、市場データを示しながら協議に移行できる可能性が高まります。
例:
- 周辺相場の変動に応じた協議条項
- 固定資産税増額時の改定ルール
- 募集賃料変化時の協議条項
通知文言を丁寧に設計することで、対立を避けた建設的な議論を準備できます。
賃料改定は更新の時期 × 空室リスクの低さ × 改定根拠の明確さ、これら3軸が重なるほど、合意形成につながる確度は高まりやすくなります。
まずは、自物件がどの軸でチャンスがあるのかを整理しておくことが重要です。
合意に至りやすい賃料交渉シナリオの組み立て方
商業テナントは売上変動が大きく、撤退を判断するまでのスピードも相対的に早い傾向があります。
したがって賃料値上げは、通知のみで一方的に成立するわけではなく、事業継続への影響を踏まえた合意が前提となります。
重要なのは、テナントが納得できる理由・余力・選択肢を丁寧に提示することです。
賃料改定交渉は、次の3つを組み合わせることで、合意形成につながる可能性を高められます。

① 業績根拠(賃料負担余力がある状況)
賃料値上げが「事業継続を阻害しない」ことを説明するため、まずは市場側の根拠を貸主が準備し、そのうえで協議の中で必要に応じて業績情報を確認する流れが、多くの現場で採用されている実務的な進め方です。
▼貸主が準備できる材料例:
- 周辺の成約賃料・募集賃料の上昇
- 再開発や商圏人口の増加傾向
- 競合店舗の出店活発化
▼協議の中で追加確認できる材料(テナント協力領域):
- 来店数増加(POSデータ等で確認できれば)
- ブランド認知向上に伴う客単価改善
- 販促投資の成功による回転率向上
※テナントデータが得られない場合は、商圏データや競合情報で可能な範囲で推定することになります。
② 代替案|負担の調整余地を提示
テナント心理としては、「急な大幅値上げ」は撤退を検討するきっかけになり得ます。
そこで、合意形成に向けた負担調整の選択肢を提示します。
例:
- 段階的な改定(2〜3年で少しずつ引き上げ)
- 共益費や広告費の負担配分見直し
- リニューアルなど集客改善策とセット提案
貸主の収益改善とテナントの利益維持の両立を目指しやすくなります。
③ 客観的な「理由付け」|一方的要求にしない
値上げの背景を客観データで整理し、感覚的・恣意的な要求に映らないよう設計します。
▼提示する要素の例:
- 周辺の成約賃料や商圏データ
- 設備更新や改修による価値向上
- 賃料比率の適正性
理由が不十分な通知は「一方的な値上げ要求」と受け止められ、交渉が硬直化するリスクがあります。
そのためには、①業績根拠 × ②代替案 × ③客観性の3点を同時に示す構成が、合意形成を進めるうえで一つの有効なアプローチとなります。
値上げの正当性を示すために必要な3つのエビデンス
賃料改定通知は「請求の意思表示」であり、最終的な合意に向けて協議を行うことが前提です。
その際、貸主が示すべきは次の 3つの正当性エビデンス です。
①契約根拠:賃料改定条項の確認
賃料改定を協議できる根拠が、現行契約書に備わっているかの確認が出発点です。
条項が存在すれば、協議を開始するための合理性を説明しやすくなり、合意形成の入口に立ちやすくなります。
▼確認する項目例:
- 市場賃料の変動に応じて協議する旨の記載
- 固定資産税などの増額時に賃料調整できる旨の記載
- 「相当の事由」がある場合に改定請求できる旨の記載
※契約書に記載がない場合は、更新時の契約改訂で整備を検討します。
②市場データ:成約賃料ベースの客観性
募集賃料は一般に“希望価格”であり、実際に契約が成立した価格(成約賃料)こそ市場の実態です。しかし成約賃料は原則非公開のため、貸主が独力で正確に把握することは難しい領域です。
そのため、以下のような第三者の専門性を活用することが現実的です。
▼取得手段の例:
- 不動産鑑定評価書(成約賃料を含む専門評価)
- 商業用賃料市場レポート(エリア特化のデータ提供)
- 仲介会社や専門家による成約データ推計
③履歴データ:一貫性の証明
これまでの更新・協議の経緯を整理し、「今回の提案は一方的な要求ではない」ことを示します。
履歴が整理されていることで、「状況変化に応じて見直しを検討してきた」という客観性を示しやすくなります。
▼整理する情報の例:
- いつ、どのような理由で据え置いたか
(例:市場停滞、テナントの投資回収期間への配慮) - 何が変化したのか
(例:相場上昇、設備更新による価値向上) - 今回の提案の根拠がどこにあるか
また、この整理は万一の紛争・法的対応においても防御力を高める効果が期待できます。
通知文の考え方|拒否心理を抑制する書き方
通知はあくまで協議の開始を示すものとして設計します。
いきなり増額幅を提示すると対立構造が生まれやすく、まずは話し合いの土台を整える意図が重要です。
▼文言例(結論を断定せず、協議の開始意向を示す形):
「現行賃料と市場賃料の適正性について、 協議の機会を頂きたく存じます。」
具体的な改定幅や条件は、協議の中でテナントの状況を確認しながら調整していくことが前提となります。
ここでの目的は、結論を押しつけることではなく、
- 協議に入ることへの同意
- 対話の扉を開くこと
です。
そのため、通知文はこの後に続く交渉ステップ(理由付け・代替案提示など)と、一体で設計されている必要があります。
値上げに潜むリスクと防ぎ方|成功確度を高めるための「3つの管理ポイント」
賃料改定は収益改善の有効策ですが、空室化や交渉長期化などのリスクも並走します。
適切にリスクを把握し、事前にコントロールすることで、安心して判断できる状態をつくれます。
ここでは貸主が特に押さえるべき、3つの代表的リスクと回避策を整理します。

①空室リスク|募集力の分析がすべて
注意すべき最大のリスクは、テナント退去です。ただし、物件ごとに空室リスクは大きく異なります。
▼空室リスクを左右する主な要因:
- 空室期間が短いエリアか(需要の強さ)
- 代替テナント候補の有無
- 成約賃料が募集賃料と同水準以上か(需要が強い状態かを確認)
▼回避策:
- 需要が高い時期に通知(繁忙期・商圏成長タイミング)
- 段階的な増額幅で心理負担を低減
- 建物価値向上提案(外観改善・看板見直し等)とセットで提示
→ 「撤退は得策ではない」とテナントが判断できる状態で交渉する
②交渉決裂 → 退去時コストの正確な理解
退去となった場合、テナントは原状回復義務を負うのが一般的です。特に店舗業態は造作の影響で費用が大きくなりやすいため、撤退判断はテナントにとって簡単ではありません。
▼例(一般的な傾向):
- 飲食:ダクト撤去などで費用大
- 物販:造作量に応じて幅が大きい
重要なのは、原状回復費用は借主負担であっても、貸主も正しく理解しておくべき情報だという点です。その理由は次のとおりです。
- 借主が直面する負担(撤退コスト)の大きさを把握しやすくなる
- 空室リスクを過剰に恐れ、必要以上の譲歩をすることを防げる
→ 交渉時の腹づもりと判断精度が大きく改善します。
交渉時には貸主は、
- 契約上の原状回復ルールを整理し説明
- 契約条件に応じた過去の参考見積や一般的な費用レンジを共有(あくまで目安として提示)
といった事実の共有を行い、冷静な協議に繋げることが重要です。
③増額幅の設計|市場整合性を崩さない判断
増額幅が過大だと、
- 拒否
- 関係悪化
- 空室化加速
に直結します。
▼判断基準:
- 周辺成約賃料との差が5〜15%前後であれば、市場整合性が取りやすいケースが多い(※市場状況により変動)
- 段階的改定で負担分散
- 収益改善提案をセットにする
「値上げ=双方の利益につながる」設計が望ましいです。
値上げ幅は、「市場が許容する範囲を超えない」ことが原則になります。
賃料改定の成否は「上げられる状況か?」だけでなく、「上げても空室化しないか?」「交渉が破綻しないか?」という視点が欠かせません。
そのために重要なのは以下の3つ、
- 募集力と需要の見極め
- 退去時コストの正しい理解
- 増額幅の慎重な設計
これらを事前に整理することで、リスクを抑えた賃料改定が実行できます。
まずは自物件の「適正賃料」を数値で見える化する
ここまで説明したように、賃料改定の成功には、市場データ × 契約評価 × リスク整理、この3つの根拠が不可欠です。
しかし、これらをすべてオーナー自身で揃えるには、情報入手や分析の手間が大きく、現実的には大きな負担になります。
そこで有効なのが、専門家による適正賃料算定です。
▼専門家が整理できる観点:
- 周辺成約賃料との客観的な乖離算定
- 物件魅力向上分の反映余地の評価
- 契約書の交渉余地整理(改定条項等)
- 空室リスク許容度の診断
根拠が揃えば、交渉は“お願い”から“提案”に変わります。
専門家の算定を活用し、交渉を「勝ち筋のある企画」へ
大切なのは「上げたい」ではなく、 “上げられる状況なのか”を判断できる状態にすることです。
支援により、以下が一連で整理されます
- 増額幅の妥当性
- 通知タイミング
- 合意形成までの交渉ストーリー
調査結果が「交渉設計図」になるイメージです。
成約賃料の根拠 × 契約評価
下記の両方が揃うと交渉はより強固なものになります。
- 市場が追い風 → 条項が弱くても前に進める
- 条項が強い → 市場乖離が小さくても計画的に進められる
どちらか一方ではなく、両輪での整理が有効です。
数字で裏付けされた交渉は、
- 年間収益の改善
- 資産価値向上
- 空室化リスク低減
といった成果につながる可能性を高めます。
無料でできる第一歩|「賃料を上げられる状況か」を無料で診断
まずは「現行賃料が適正か」を数値で把握しましょう。
賃料を見直すべきかどうか―その判断は、現状の適正賃料との差が出発点になります。
そこで、現行賃料が市場と比べて割安・割高のどちらに位置しているのか、専門家が数値で可視化します。
“いま上げられる状況なのか?”、まずは事実を知ることが、最も安全で確実な一歩です。
自社だけでは整理しきれない“判断材料”を、短時間で整えることができます。
そして、単なる数値提示ではなく、「勝ち筋」を持って交渉に臨める状態へ近づけるための診断です。
まとめ|賃料値上げは“適切なタイミング選択”で成功確度が変わる
賃料改定は、商業オーナーにとって収益改善を大きく左右する重要なレバーです。
一方で、根拠を欠いた値上げ通知は、テナント離反や空室長期化のリスクを伴います。
成功の鍵は次の3点です。
- 周辺相場との乖離など「上げられる状況」を把握
- 更新時期など、交渉が前向きに進みやすいタイミングを選択
- 双方が納得できる「交渉設計」を行う
まずは、自物件の賃料が市場と比べて位置づけがどうなのか。現行賃料と適正賃料の差(数字)を把握することが、安全で確実な第一歩です。
手元の物件が、今まさにチャンスを迎えている可能性もあります。
まずは“数字で確かめる”ことから、安全に一歩を踏み出しましょう。

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その差額は、毎月数十万円から数百万円に及ぶ可能性があります。
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