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【2025年最新版】オフィス賃料推移と相場比較|今後の見通しも解説

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東京都心および大阪中心部におけるオフィス賃料は、ここ数年で大きな変動を経験しました。コロナ禍によるテレワークの普及、オフィスの縮小・解約の増加により、空室率の上昇と賃料の下落が進みました。しかし、2023年以降は回復基調に入り、賃料は再び上昇傾向を見せています。
本記事では、2020年から現在に至るまでのオフィス賃料推移と、2025年以降の見通しをデータに基づいて詳しく解説します。また、東京・大阪の賃料動向を全国主要都市と比較し、今後の賃料戦略に役立つ情報を提供します。
2024-2025年 東京・大阪オフィス賃料の現状
東京ビジネス地区(都心5区)の現状
2025年2月時点で、東京ビジネス地区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)の平均賃料は20,481円/坪(月額)となっており、前年同月比で+3.56%の上昇となっています。空室率は3.94%と、コロナ禍の影響があった時期から大幅に改善しました。
【東京ビジネス地区(都心5区)】
年月 | 賃料(円/坪) | 空室率(%) |
2019年12月 | 20,300 | 1.55 |
2020年6月 | 20,000 | 2.00 |
2021年10月 | 19,500 | 6.47 |
2022年12月 | 19,200 | 5.50 |
2023年7月 | 19,819 | 4.30 |
2025年2月 | 20,481 | 3.94 |
大阪ビジネス地区の現状
大阪ビジネス地区(梅田・淀屋橋本町・中之島など)の平均賃料は12,214円/坪(月額)です。空室率は3.79%まで低下し、2020年のコロナ禍時期から大幅に回復しています。
【大阪ビジネス地区(梅田・淀屋橋本町・中之島)】
年月 | 賃料(円/坪) | 空室率(%) |
2019年12月 | 12,000 | 2.50 |
2020年6月 | 12,026 | 2.46 |
2022年3月 | 11,800 | 5.22 |
2023年7月 | 12,000 | 4.00 |
2025年2月 | 12,214 | 3.79 |
【オフィス賃料推移】2020年~2025年の推移と動向
コロナ前の市場(2019年~2020年上期)
2019年時点、東京都心5区の平均空室率は1.55%という過去最低水準でした。賃料も高騰し、坪単価は2万円を超えています。
出典:三鬼商事「オフィスマーケットデータ 2019年12月」
大阪では2020年6月時点の平均賃料が12,026円/坪に達し、空室率も2.46%と低水準を記録しています。
出典: 大阪オフィスマーケット|2024年の新規オフィスビル大量供給による変化と見通し(東急リバブル株式会社)
コロナ禍の急激な変化(2020年後期~2022年)
2020年初頭以降、新型コロナウイルスの影響によりテレワークが急拡大。東京都心5区では2021年10月に空室率が6.47%に達し、2021年の新規需要は▲12万坪と大幅な後退となりました。
出典:東京・大阪・名古屋のオフィス賃貸市場予測(2022 年 4 月)三菱UFJ信託銀行
大阪でも同様の傾向が見られ、2022年3月には空室率が5.22%に達しています。
賃料は、東京で2022年に前年比-2.9%、2023年も-1.1%の下落となり、都心5区の平均賃料は2023年7月時点で19,819円/坪にまで低下しました。
出典:不動産の2025年問題と東京都心部のオフィスビル市況(株式会社ボルテックス)
大阪では2021年末時点でピーク時から約2%減の11,796円/坪にまで下落しています。
出典: 大阪オフィスマーケット|2024年の新規オフィスビル大量供給による変化と見通し(東急リバブル株式会社)
回復と現状(2023年~2025年)
2023年以降、景気回復とともに東京・大阪のオフィス需要は持ち直し、東京では2023年後半から賃料が再び上昇し、2万円/坪台を回復。大阪も2023年頃から上昇傾向にあります。
2025年2月時点の平均空室率は東京3.94%、大阪3.79%と、いずれも回復基調を維持しています。

【全国比較】オフィス賃料 坪単価 全国ランキング
2025年2月時点の全国主要都市の坪単価は以下の通りです。
地域 | 坪単価(円) |
東京都心5区 | 20,481 |
大阪主要6区 | 12,214 |
名古屋 | 12,600 |
福岡 | 10,000 |
札幌・仙台 | 8,000〜10,000 |
東京は全国平均の約2倍、大阪は安価ながらも安定性があり、企業の拠点移転先として注目されています。
【分析】コロナ前後の賃料変動要因と二極化
コロナ禍では、テレワークの普及によりオフィス需要が激減し、賃料は下落しましたが、新規供給が少なかったことにより、大幅な下落は回避されました。
2022年以降は、人気エリア(丸の内、大手町、梅田など)のハイグレード物件は引き続き高稼働率を維持し、賃料も上昇しています。一方で、郊外や老朽ビルでは空室が目立ち、賃料も低迷しています
出典:不動産の2025年問題と東京都心部のオフィスビル市況(株式会社ボルテックス)
【2025年~今後の見通し】賃料はどう動く

2025年には東京で超大型開発プロジェクトが集中し、空室率が6.7%まで上昇する可能性があると予測されています。これにより、賃料は一時的に下落圧力が強まる見通しです。
大阪でも、2024年に過去最大規模の新規供給があり、その後空室率は6.7%に達する可能性があると報告されています。
出典:大阪オフィスマーケットダイナミクス 2024年第4四半期(JLL)
一方で、2028年以降は再び需給バランスが改善し、安定した市場環境が戻ると予測されています。
2025年〜2026年|大規模供給による賃料下落圧力
2025年から2026年にかけて、東京・大阪の都心部では大規模なオフィス供給が相次ぎます。これにより、一時的に空室率が上昇し、競争激化によって賃料が下落する動きが予想されます。特に、設備の古い物件や立地の劣るビルはテナント確保が難航し、賃料の値下げを迫られるケースも出てくるでしょう。
2028年以降|需給バランスが整い、プレミアム物件は賃料回復へ
2028年頃には、2025年以降に供給された大型オフィスの吸収が進み、主要エリアの需給バランスが改善される見込みです。これにより、丸の内・大手町・梅田など、人気のビジネスエリアでは高稼働率が続き、プレミアム物件を中心に賃料も回復傾向に向かいます。一方で、郊外や老朽化した物件は苦戦を強いられ、さらなる二極化が進行する可能性があります。
サステナブルビル(ZEB)へのシフト|ESG志向で「環境配慮型オフィス」にプレミアム価格
環境性能の高いZEB(ゼロエネルギービル)や、環境認証を取得したサステナブルオフィスへの需要が高まっています。企業がESG経営の一環として、環境配慮型のオフィスに移転する動きが活発化。こうしたZEBビルは希少価値が高く、賃料にプレミアムが付与されやすい状況が続いています。今後も脱炭素社会への流れが進むことで、ZEB対応ビルの空室率は低水準を維持し、安定した賃料推移が見込まれています。
オフィス戦略の見直しは「今」が最適
東京・大阪のオフィス市況は回復基調にありますが、供給過剰リスクをはらんでいます。2025年は賃料交渉やオフィス移転の好機です。現状の賃料が適正か、まずは診断し、戦略的なコスト見直しを進めましょう。
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