内装工事

オフィス移転にかかるスケジュールと費用の目安|必要業務のチェックリスト

目次
  1. オフィス移転にかかる期間(スケジュール)
  2. オフィス移転で行うこと
  3. オフィス移転における費用でにインパクトを与える項目
  4. 原状回復工事の「期間や費用」でお困りなら

オフィス移転・事務所移転には、さまざまな業務が発生します。会社にとって重要なプロジェクトですので、オフィス移転の担当者様はしっかりスケジュールを立てて取り組む必要があります。

ですが、賃貸物件の契約解約など物件周りのことに詳しい方が社内にいない企業様も多く、はじめてオフィス移転の担当者になられた方は大変な業務負荷がかかります。

そこで本コラムでは、オフィス移転の期間やスケジュールの目安、必要業務、かかる費用などについて解説します。煩雑な作業が伴うオフィス移転時のチェックリストとしてお役立てください。

オフィス移転にかかる期間(スケジュール)

スムーズにオフィス移転を完了させるためには、どの程度の期間を見積もれば良いのでしょうか。効率的に進めるためには、スケジュールを設定しておくことが重要です。オフィス移転にかかる期間の目安と、おおまかなスケジュールについてまずは図をご覧ください。

オフィス移転にかかる期間の目安

オフィス移転にかかる期間の目安は、約8~9カ月を見ておくことをおすすめします。これは、一般的なオフィス契約では、退去の6カ月前に解約予告が必要になるためです。解約までに必要な猶予期間を「解約予告期間」と呼びます。

解約予告を出してから新オフィスを探し始めると、移転日までに物件を見つけられないおそれがあります。また、物件の調査・検討で忙しくなり、スケジュールに余裕がなくなってしまうことが少なくありません。そのため、解約予告を出す前に新オフィスを決めておくことが望ましいと言えます。

スケジュールを決めるポイント

引っ越しの日程は「解約予告のタイミング」と「原状回復工事にかかる日数」から決めます。

2つの時期を知るために賃貸借契約書を確認しておきましょう。賃貸借契約書には解約予告期間と原状回復の範囲が記載されています。

原則として、解約予告の取り消しや解約日の変更はできません。新オフィスが決まる前に解約予告を行うと、移転できるか不確実なまま退去だけが決まっているという状況になってしまいますので、解約予告を行う前に新オフィスは決めるのが望ましいです。

オフィス移転の基本的なスケジュール

移転6カ月前までに行うこと
  • 新オフィスの物件を選定しておく
  • オフィス移転業者の選定・契約
  • 現オフィスへの解約予告

この時期までに新オフィスの物件を選定することをおすすめします。前もって、移転の目的や新オフィスに求める条件を洗い出しておくことが大切です。目的に沿って、「想定している自社のワークスタイルを実現できるかどうか」「現オフィスの課題をクリアできるか」を基準にオフィスを選定してください。オフィス移転のさまざまな工程をサポートするオフィス移転業者を利用する場合は、この時点で業者選定を実施し、契約します。

また現オフィスの解約予告も忘れずに行ってください。

賃料の支払いが発生する「賃料起算日」は契約により異なります。契約締結日の他に、物件引き渡し日や内装工事の着手日、主な什器・備品の搬入日、移転日(引っ越し日)などさまざまです。内装工事など一定の準備期間を賃料のかからないフリーレント期間とする物件もあります。なお、月の途中から賃料がかかる場合は日割り計算されることが一般的です。

移転4~5カ月前に行うこと
  • 原状回復工事業者の選定
  • 新オフィスのレイアウトプランの策定
  • 新オフィスの内装工事業者の選定

原状回復工事業者の選定には賃貸借契約書に記載されている原状回復工事の範囲に対応できる業者を選んでください。工事にかかる期間の見積もりを確認し、解約日から起算して引っ越し日を設定します。

新オフィスのレイアウト策定もこの期間内に行います。理想的なオフィス空間を実現できるように、導線のシミュレーションを行うなどして、慎重にオフィスデザインを設計してください。同時に、新オフィスの内装工事業者の選定も進めます。

移転2~3カ月前に行うこと
  • 不要な備品・什器の廃棄
  • 新たに購入する備品・什器の発注
  • 各業者への業務発注

この期間には、備品・什器の分別を行います。オフィス内にある備品・什器・OA機器を確認し、移転先に持っていくものと、廃棄するものを決めます。新たに購入するものについてもこの段階でリストアップし、発注しておくことが望ましいです。

原状回復工事の業者、内装工事の業者の選定が終わっている場合は、各業者に正式に手配してください。

移転1カ月前~当日に行うこと
  • 公的機関への届け出・手続き
  • チェックリストの作成
  • 取引先へオフィス移転について連絡
  • 新オフィスの内装工事
  • 新オフィスへの保険加入

まずは公的機関への届け出・手続きを行います。数が多く、煩雑なため、チェックリストを作成しておくことをおすすめします。また、取引先に対しても忘れずにオフィス移転について連絡してください。必要に応じて、書面で挨拶状などを発行することがあります。

また、移転1カ月前には内装工事を済ませておくとスムーズです。というのも、インターネットの工事に1カ月ほど期間を要する場合があるためです。社員個人の細かな荷物をまとめる作業など、引っ越しの作業も当日に間に合うように計画をたててください。

オフィス移転で行うこと

オフィス移転では、さまざまな業務を処理しなければなりません。すべての業務を忘れずに完了するためには、業務を整理しておくことが大切です。以下では、現オフィスの解約日までに行うことを3つに区分けしてご説明します。

現オフィスに関する業務

解約予告

解約の意志と退去日をオーナーに対して通知することを指します。借主は退去する場合、貸主に対して解約予告期間内に通知する必要があります。解約予告期間よりも早く退去する場合、解約料が別途かかる場合があります。

原状回復工事

オフィスを入居時の状態に戻す原状回復工事には工事区分があり、区分によって「業者への発注者」「業者の選定者」「原状回復費用の負担者」が異なります。借主に関わるのが、B工事、C工事です。A工事は建物の共有部分の工事が中心であり、入居者が関わることは基本的にありません。

工事区分は賃貸借契約書で確認します。工事区分によっても異なりますが、業者の選定、発注、貸主への引き渡しなど行うことが一般的です。

原状回復工事とは?範囲・費用・スケジュールに関する注意点を解説
原状回復工事とは?範囲・費用・スケジュールに関する注意点を解説

新オフィスに関する業務

物件の選定

新オフィスに必要な条件を整理し、物件を選定してください。入居する従業員数、必要な部屋数、最寄り駅などが代表的な条件の例です。最初に設定したオフィス移転の目的を意識して物件を選ぶことがポイントです。

オフィスデザイン・レイアウトプランの策定

新オフィスのレイアウトプランの策定を行う際には、従業員が快適に作業できる環境を作ることを意識してください。また、現オフィスの問題やオフィス移転の目的を、積極的にレイアウトへ反映させましょう。移転を機にフリーアドレスなど働き方改革を意識したレイアウトにするのも良いでしょう。

内装工事

新オフィスでそのまま業務を開始できるとは限りません。希望のレイアウトによっては、内装工事が必要です。内装工事業者を選定する際は想定しているレイアウトに対応してくれるか、オフィス移転のスケジュールに合わせてくれるか、といった点に注目しましょう。なるべくコストを抑えるために、相見積もりをとることも大切です。

店舗内装にかかる費用はどのくらい?|主な内訳や費用の変動要素、安く抑えるポイントを紹介
店舗内装にかかる費用はどのくらい?|主な内訳や費用の変動要素、安く抑えるポイントを紹介

その他の業務

オフィス移転業者の選定

オフィス移転業者とは、オフィス移転を企業とともに推進していく専門業者のことです。サービス内容は業者によって異なりますが、新オフィスのデザインや想定される費用を提案してくれるケースが一般的です。オフィス移転業者に相談する際は、以下のような要件を伝えると対応がスムーズに進みます。

  • 予算
  • オフィスの人数
  • 現オフィスの面積
  • 移転希望時期
  • 依頼したい業務の範囲
引っ越し作業

業者を利用するとしても、企業側で行わなければならない引っ越し作業は少なからずあります。備品や什器、書類の処分などを必要に応じて行ってください。オフィスに持ち込んでいる社員の私物なども、スケジュールに余裕を持って整理しておくことをおすすめします。

公的機関への届け出・手続き

各種公的機関への届け出・手続きを忘れずに行う必要があります。

まずは、本店や支店の移転登記を行うため、法務局への手続きが必要です。管轄の法務局に登記申請書と必要書類を提出しましょう。税務署には、異動届出書、給与支払事業所等の開設・移転・廃止届出書などを提出します。

他にも、都道府県税事務所、労働基準監督署・公共職業安定所、警察署・消防署へも届け出が必要です。提出期限が設けられている届け出もあるため、チェックリストを作成して抜け落ちがないように処理していくことをおすすめします。

オフィス移転における費用でにインパクトを与える項目

オフィス移転の予算を組む場合は、費用の内訳と相場を把握しておく必要があります。以下では、オフィス移転における費用を「引っ越しにかかる費用」「新オフィスの入居にかかる費用」「現オフィスからの退去にかかる費用」に分類し、それぞれの相場について解説します。

引っ越しにかかる費用

まず、デスクや荷物・家具などの移動に伴う費用がかかります。移動するものの量によって増減しますが、従業員1人あたり2~5万円が相場だと考えられています。

また、現オフィスや新オフィスの状況により追加費用がかかる場合があります。荷物用エレベーターが設置されていなかったり、搬出・搬入にクレーンが必要になったりする場合などは、一般的に追加費用を負担しなければなりません。

新オフィスへの入居にかかる費用

工事費用

工事区分によって費用負担者や発注者などが異なります。具体的な工事区分と費用負担者・発注者の対応は以下の通りです。

工事区分業者への発注業者の選定費用負担
A工事貸主貸主貸主
B工事借主貸主借主
C工事借主借主借主

また、居抜き物件を借りることができれば費用を抑えられる場合があります。居抜き物件とは、内装や備品などをそのまま引き継げる物件のことです。内装工事や備品の購入費用を節約できるため、コストダウンにつながります。

A工事・B工事・C工事の違い|費用負担は?業者の選定・発注は?
A工事・B工事・C工事の違い|費用負担は?業者の選定・発注は?
前賃料

一般的に入居の際は、入居月の賃料と翌月の賃料を合算で支払わなければなりません。この際支払う賃料を、前賃料といいます。入居月の支払いは負担が大きくなることを想定しておく必要があります。

敷金・礼金

一般的な賃貸住宅と同様、オフィスの入居でも敷金・礼金の支払いが発生します。敷金は、借主による破損・汚損の修繕費に充てられる費用であり、退去時の原状回復に使用されます。敷金は貸主へのお礼として慣例的に支払われているお金です。敷金・礼金がかからないオフィスもあります。契約時は敷金・礼金の有無について確認します。

仲介手数料

新オフィスを紹介してくれた不動産会社や仲介会社に支払う費用です。宅地建物取引業法では、仲介手数料の上限が「家賃の1カ月分+消費税」と定められています。上限以上の仲介手数料を請求してくる不動産会社や仲介会社は違法なため、交渉もしくは契約を避けることをおすすめします。

オフィス家具購入費用

新たに購入する場合は、当然ながら購入費用が発生します。コストを下げるためには、可能な限り現オフィスから多くの家具を継続して使うことが大切です。

インフラ整備費用

各種公的機関への届け出・手続きを忘れずに行う必要があります。

電話回線、インターネット回線、プロバイダー、電気などのインフラを新オフィスで新たに契約する際は、初期費用が発生します。さらに、入居してから毎月ランニングコストも発生するため、契約の際は慎重な判断が必要です。現オフィスで契約している事業者と引き続き契約しても問題ありませんが、オフィス移転を機に費用面やサービス内容を他社と比較してみることをおすすめします。

現オフィスからの退去にかかる費用

ここまで引っ越しまでのスケジュールや費用について解説を行いましたが、オフィスの引っ越しは引っ越し完了後にも業務が残っています。引っ越し業務には、退去までをスケジュールに含めて考える必要があります。

原状回復工事費用

原状回復を行う範囲や工事内容により異なります。原状回復の範囲については、賃貸借契約書に記載されているため確認しておきましょう。例として、スケルトンの状態まで戻すことになっている場合は、壁や天井の撤去も必要です。

廃棄物処理費用

現オフィスに設置している家具などの不用品は、産業廃棄物として処理しなければなりません。通常は処理業者に処分を依頼します。処理費用は業者によって異なりますが、2トン車1台分で7~8万円、4トン車1台分で12~15万円が相場です。

退去するまでにかかる賃料

現オフィスの解約予告期間に応じて賃料を支払う必要があります。一般的な解約予告期間は6カ月です。そのため、解約予告を出してからも6カ月分の賃料の支払いは想定しておきましょう。通常、契約最終月の賃料は解約日までの日割りとなります。

原状回復は解約日までに終わらせる必要があり、原状回復工事を行う段階にはオフィスには何もない状態にしておかなければなりません。つまり、解約日からある程度前には新オフィスの契約を開始し、移転を済ませておく必要があります。このことから、一般的に旧オフィスと新オフィスの契約が二重になる期間が存在し、支払いも二重になります。コスト削減のためには、この二重支払いの期間をなるべく短くすることも大切です。

原状回復工事の「期間や費用」でお困りなら

ビズキューブ・コンサルティングの「工事費削減コンサルティング」にお任せください。