SDGs

SDGsに企業が取り組むメリットと注意点|回避すべきSDGsウォッシュとは?

目次
  1. SDGsとは
  2. 企業がSDGsに取り組むメリット
  3. SDGsウォッシュの概要と3つの回避方法   

近年、持続可能な社会の実現を目指す「SDGs」という言葉について、ビジネスパーソンの方なら、一度は目や耳にしたことがあることでしょう。

SDGsは国や自治体だけでなく、企業からも大きな注目を集めています。Googleやスターバックスといった世界規模の会社をはじめ、国内の中小企業でも積極的にSDGsの活動を推進しています。その大きな理由の一つが、SDGsを正しく推進することにより、ビジネスにおいて大きなメリットを得られることです。

そこで今回は、企業がSDGsに取り組むメリットと、注意点について解説します。これからSDGsの推進活動を図る企業にとっては、プロジェクトの成功に必要不可欠な取り組みの「適切な目的設定」にも重要な知識なので、ぜひご確認ください。

SDGsとは

SDGsのメリットの前に、まずは基礎知識について理解しましょう。なぜなら、企業がSDGsの活動促進を行う上では各目標とターゲットをしっかりと認識して、自社の事業との親和性が高い取り組みを実施することが欠かせないからです。適切にSDGsの活動を推進できれば、その継続のしやすさや得られるメリットの最大化なども図れるでしょう。

推進担当者であれば、17のゴールはもちろん169のターゲットまで把握しておきましょう。ターゲットに記載された具体的な数値目標などまで理解しておかないと、SDGsに直結する具体的な施策を立てられないからです。SDGsを正しく理解した上で、各企業において現実的な目標を設定しましょう。

SDGsの基本知識

SDGsとは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」のことです。国際開発の世界規模の共通目標「MDGs」をさらに発展させた「国際目標」であり、2015年の国連サミットにて加盟国の全会一致で採択されました。

SDGsの目的は「2030年までに持続可能でより良い世界を目指すこと」です。また、その達成に必要な17の目標(ゴール)と、さらに各目標を実現するための169項目のターゲットが「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されています。    

17の目標

SDGsの17の目標(ゴール)とは、先進国や発展途上国などそれぞれの国が取り組んで解決すべき課題に対するゴールです。



  • あらゆる場所あらゆる形態の貧困を終わらせる


  • 飢餓を終わらせ、食料安全保障および栄養改善を実現する
  • 持続可能な農業を促進する


  • あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保する
  • 福祉を促進する


  • すべての人に包括的かつ質の高い教育を確保する
  • 生涯学習の機会を促進する


  • ジェンダー平等を達成する
  • すべての女性及び女児の能力開花(エンパワーメント)を行う


  • すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する


  • 全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する


  • 包摂的かつ持続可能な経済成長を促進する
  • 全ての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する


  • 強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進およびイノベーションの推進を図る


  • 国内および各国家間の不平等を是正する


  • 包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市および人間居住を実現する


  • 持続可能な消費生産形態を確保する


  • 気候変動およびその影響を軽減するための緊急対策を講じる


  • 持続可能な開発のために、海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する


  • 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進を促進する
  • 持続可能な森林の経営、砂漠化への対処ならびに土地の劣化の阻止・回復および生物多様性の損失を阻止する


  • 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進する
  • 全ての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する


  • 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
 
169のターゲット

169のターゲットとは、各目標を達成するための具体的な行動指針のことです。各目標に5~19個程度設けられており、それぞれに目標とすべき数値などが明記されています。

■ターゲットの例

目標1貧困をなくそう
ターゲット 1.12030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
ターゲット 1.22030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。
ターゲット 1.3各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。
ターゲット 1.42030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。
ターゲット 1.52030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。
ターゲット 1.aあらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。
ターゲット 1.b貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。

【出典】「SDGsとは?」(外務省)

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html

【出典】「ミレニアム開発目標(MDGs)」(外務省)

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/doukou/mdgs.html

【出典】「SDGグローバル指標(SDG Indicators)」(外務省)

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/statistics/goal1.html

【出典】「持続可能な開発目標(SDGs)」(総務省)

https://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/index/kokusai/02toukatsu01_04000212.html

企業がSDGsに取り組むメリット

企業(ブランド)イメージの向上

SDGsは世界的に取り組むべき共通の目標であり、その種類も社会問題や環境など人種や世代を超えた問題意識の高い項目ばかりです。そのため、SDGsを推進していることを周知できれば、「社会的な責任を果たしている企業」や「社会貢献に積極的な企業」として自社そのものの企業価値や商品・サービスの付加価値の向上につながるでしょう。

ブランドイメージが向上すれば、競合他社よりも優位に立ちやすいため新規顧客の獲得に大いに役立つでしょう。その結果、1人の顧客から生涯にわたって得られる「LTV(ライフタイムバリュー)の増加」にもつながります。さらにSDGsの意識が高い顧客などから自社の取り組みの共感を得られれば、「ロイヤルカスタマー」になってもらえることも考えられます。

またSDGsの取り組みによるブランドイメージの向上によって、取引先との関係性をより良好にできれば、契約の長期化も図れるでしょう。下請け業者やパートナー事業者との関係性向上にもつながり、安定した生産体制の確保もしやすくなります。

社会課題への対応

自社のビジネスと社会課題の対応の両立が図れることも、SDGsに取り組む大きなメリットの一つです。社会課題に明確な定義はありませんが、一般的には「世の中にある解決すべき課題の総称」を指します。

社会課題に対応できれば、ビジネスチャンスの獲得や経営リスクの低減、社会的な高評価といったさまざまな良い効果を得られる機会が増加します。

事業活動の中で、社会課題を意識できる機会はそう多くはありません。SDGsの目標やターゲットには多分に社会課題の要素が含まれているため、推進活動を通じて社会課題に対する企業の対応力や発見力の強化にもつながります。その結果、従来では得られなかった事業成長のチャンスをつかみやすくなるのです。

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生存戦略につながる

SDGsに取り組み社会課題に対応することで、なぜ経営的なリスク回避につながるのでしょうか。実はSDGsの定義でもある「持続可能な開発」は、「持続可能な事業経営」と同義とも考えられるほどの深いつながりがあるのです。

例えば、製紙業において森林伐採や石油の枯渇などの課題はそのまま原材料不足に直結するため、経営的に大きなリスクといえるでしょう。そのため、SDGsを推進して森林の保護や代替原料への切り替えなどを図ることは、長期的な視点で市場の変革や企業の生存戦略にもつながります。

このような生存戦略を実現できれば、長期的な利益の確保・増大、災害時にいち早く事業を再稼働できるようにする「BCP(事業継続計画)」の促進も図れるかと思います。    

新たな事業機会の創出

社会課題や社会問題の解決を目指した事業展開を「ソーシャルビジネス」といいます。SDGsの推進によって社会課題の対応力、発見力を高めることで、世界で年間12兆ドルとされる事業機会の創出につながるほか、社会貢献活動を行う企業との協業のきっかけになるなどビジネスチャンスの拡大も図れます。実際、大阪にあるカフェがSDGsの取り組みとして「食べられるカップ」を作り、BtoCからBtoBの市場に進出したケースもあります。

どのような事業にも存在する「事業(製品)ライフサイクル」の短期化が懸念されている昨今、求められるスピーディーな事業展開や消費者ニーズの新事業の創出、市場開拓の必要性はますます高くなるでしょう。2030年に向けて活発化する、SDGsや社会課題をターゲットにしたビジネスチャンスを得られる、大きなきっかけといえます。

社員のモチベーション維持、モラル意識の向上

SDGsを推進することで、社内環境の改善にも大きなメリットが期待できます。例えば、SDGsの理念を社員と共有して事業で実践できれば、日々の業務が社会に貢献している実感を得られやすくなります。

また、社会課題の解決を図る関係者の一人として、責任をより大きく感じることでモラルが高まる効果も考えられます。

社内環境や社員の教育が整備されれば、定着率の向上、離職率の低下につながります。さらに社員にとって魅力的な会社という評判が広がれば、求人の応募者が増えるなど、人材不足や採用コスト増といった多くの企業が抱える課題にもアプローチしやすくなります。愛社精神も培われるため、情報の持ち出しなどの「内部脅威」のリスク低減も図れるでしょう。

投資家との関係性向上

近年、投資判断の基準として事業の「Environment(環境)」、「Social(社会)」、「Governance(企業統治)」を重視する傾向が世界的に強まっています。これらの頭文字からなる「ESG投資」は収益性とは異なる新しい観点であり、投資家に対する倫理性と収益性を兼ね備えたアピールが欠かせません。

SDGsは環境、社会などにアプローチする取り組みが多く、社員のモラル向上も図れるため企業統治の向上にもつながります。このような社会貢献活動を実施して周知することも、資金調達などにおいては重要な要素となり得るでしょう。

SDGsウォッシュの概要と3つの回避方法   

SDGsウォッシュとは    

企業がSDGsに取り組み、その実施状況を周知する際に必ず注意しなければならないのが「SDGsウォッシュ」です。言葉の由来である「ホワイトウォッシュ(white wash)」とは日本語で「取り繕う」、「うわべだけ」という意味で、実態とは異なるSDGsの取り組みをアピールしたり、周知したりすることを指します。

SDGsウォッシュの主な例

  • 推進活動をしていないにもかかわらず、SDGsのロゴやアイコンをWebサイトに掲載する
  • 取り組みの良い面、結果が出ている数値のみを掲載する
  • 実際の数値とは異なる図表や誤解を招く表現を使用する

SDGsウォッシュとして上記のような例が挙げられますが、こうした事例は5つの類型に分類されるのが一般的です。自社で取り組む際は、該当しないよう事前にしっかりと対策を練る必要があるでしょう。

取り組みそのものに問題があるケース

認識不足
対応すべき社会課題を認識できておらず、そもそも取り組みに至っていない

取り組み不足
対応すべき社会課題に取り組んでいるが、取り組みが十分でない

開示不足
取り組みは行っているものの、必要十分な情報を開示できていない
コミュニケーションに問題があるケース

負の誘発
特定の社会課題に対する取り組みにより、別の社会課題を引き起こす/悪化させている

言行不一致
/矛盾
特定の社会課題に取り組む一方、別の取り組みでは同社会課題を引き起こす/悪化させている

SDGsウォッシュを回避する為の3つのポイント

SDGsウォッシュを回避するポイント1:SDGsの本質を理解する

SDGsウォッシュを避けるためには、まずSDGsの本質を理解して事業の種類や現状、経営理念などに適した目標とターゲットを決めましょう。適切な目標とターゲットを設定できなければ、SDGsウォッシュのうち「認識不足」や「負の誘発」につながるリスクが高まります。

SDGsウォッシュを回避するポイント2:SDGsによるメリットを明らかにし、社内で共有する

SDGsは短期ではなく、持続的に取り組み続ける必要があります。ボランティア活動のように行ってしまうと、ベネフィットがもたらされにくいため株主の納得が得られにくくなってしまいます。また、社員にとっても「やらされている」という負のイメージが強まり、活動の推進にとって大きな障害になる可能性が高まります。

SDGsに取り組むことで得られるメリットをしっかりと明示し、社内で共有することが、企業を巡る関係者の理解を得るためには必要不可欠です。

SDGsウォッシュを回避するポイント3:現実的にコミットできるSDGsを取り入れる

本業から外れた目標やターゲットも、現場の社員がSDGsの取り組みを負担と感じやすくなるため、コミットメントが困難になります。既存の事業に沿い、なるべく大きな負担をかけずにメリットを得られやすいものの優先順位を上げるべきでしょう。

SDGsウォッシュとは?企業にもたらす悪影響と避けるためのポイント
SDGsウォッシュとは?企業にもたらす悪影響と避けるためのポイント