契約書の管理&電子化

文書管理システム(主な機能と選び方)|システム選定前に知っておくべきこと

目次
  1. 文書管理システムの概要
  2. 文書管理システムの主な機能
  3. 文書管理システムの選び方

文書管理は、企業における重要な業務のひとつです。しかし、管理体制の最適化が進んでいない企業は多く、依然として紙媒体のまま文書を保管していたり、エクセルで管理台帳を作成して手作業で更新していたりするケースも少なくありません。

文書管理の効率化を検討する際は、文書管理システムの導入がおすすめです。文書管理システムを活用することで、文書の保管や共有が簡単になり、書類の紛失・盗難といったリスクも抑えられます。本コラムでは、文書管理システムの主な機能や選び方のポイントを解説します。

文書管理システムの概要

文書管理システムはどういうもので、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、文書管理システムの概要と関連用語の細かな違いについて解説します。

文書管理システムとは?

組織内の文書(ドキュメント)や情報を電子化し、保管・保存・活用・廃棄など一連の業務を一元管理するツールのことです。契約書や仕様書、報告書、マニュアル、納品書など、企業活動で生じるさまざまな文書をまとめて管理できます。2022年1月施行の電子帳簿保存法改正により、契約書管理をメインとしたシステムも増えています。

【2022年1月施行】 電子帳簿保存法の基本事項と改正ポイントをわかりやすく解説
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文書管理システムの導入によって必要な書類に必要なタイミングでアクセスできる環境が整えば、日々の業務で時間を奪われがちな「文書を探す」行為を短縮でき、生産性の向上に繋がります。加えて、関連文書もまとめて検索できるため、効率的な文書管理ソリューションを構築できます。

また、紙媒体をデジタル化することで社内文書のペーパーレス化につながるのもメリットです。ペーパーレス化は環境負荷削減効果があるだけでなく、用紙代やインク代、書類の整理を行う従業員の人件費といったコストの削減に役立ちます。

さらに、文書管理システムに保存した書類は、メールやクラウド上で簡単に共有が可能です。ワークフロー機能が搭載されていれば、場所や時間を選ばずに書類の確認や承認、電子決済なども行えます。働き方改革でテレワークや在宅勤務を推進している企業はぜひとも導入すべきシステムといえます。

文書管理システムとファイルサーバーの違い

ファイルサーバーとは、ネットワーク上で電子ファイルを保管、共有することを目的にしたサーバーを指します。専用のソフトウェアをインストールすることで、電子ファイルの管理や閲覧に関する権限設定をフォルダで行える点が特徴です。

一方、文書管理システムは、上記に加えてワークフローの管理やセキュリティ設定などの機能を搭載したものが多く、ファイルサーバーをより進化させたものといえます。文書検索の性能もファイルサーバーより優れた製品が多く、幅広いシーンで活躍します。

クラウド型とオンプレミス型の違い

文書管理システムには『クラウド型』と『オンプレミス型』の2種類があります。クラウド型は、インターネット上で提供されているシステムを利用する形態です。ライセンス契約を交わした後、サービスURLにアクセスした上でIDとパスワードを入力すると利用できます。導入から運用開始までがスピーディーで、サーバー調達にかかるコストやメンテナンスなどが必要ない点が魅力です。

オンプレミス型は、自社でシステムを社内に構築し運用する形態を指します。クラウドサービスと比較してコストがかかりやすいものの、自社の状況に合わせて柔軟に設計しやすいのが特徴です。

文書管理システムの主な機能

企業における文書管理の課題には、資料探索に時間がかかることによる業務効率の低下や、書類の紛失・情報漏えいの発生リスクなどが挙げられます。これらの課題の解決に資する文書管理システムについて、主な機能を解説します。

文書登録機能

文書の属性を設定し、部署や種類ごとに分類・保管する機能のことです。複数のファイルを1つの文書として登録することもできるため、関連ファイルがバラバラに保管されていて探しにくい、といった事態も防げます。

文書管理システムの中にはOCR機能を搭載したものがあります。OCRとは、「Optical Character Recognition」の略称で、日本語では光学式文字認識と訳されます。画像データの中からテキストを抽出し、文字データとして取り込む技術(OCR機能)を搭載した文書管理システムを導入することで、PC上でのテキスト編集や検索が可能になります。

また、2022年1月施行の電子帳簿保存法改正に対応する文書管理システムを導入しておくと便利です。紙の文書をスキャナ保存する際の要件を満たすソフトウェアには、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の認証マークが付いていますので参考にしてください。

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検索機能
登録した文書を探し出す機能です。文書の内容や登録時に設定したインデックスを参照することで、必要な書類にスムーズにアクセスできます。文書管理システムを導入する際は、検索手段の多い文書管理システムを選ぶのがおすすめです。具体的な検索方法には、全文検索や完全一致検索、あいまい検索、タグ検索などが挙げられます。
セキュリティ機能
書類の暗号化やアクセスログの管理などを行う機能を指します。ユーザーごとにファイルやフォルダへのアクセス権を付与・管理できるため、閲覧制限を設けたい文書がある場合に安心です。また、社外への流出を防止するため、PDFの印刷や添付ファイルのダウンロードを禁止する機能、文書に透かし文字を入れる機能などが付いたシステムもあります。
ライフサイクル管理機能
文書の発生から伝達、保管、保存、廃棄という一連の流れを管理する機能のことです。保管期限が近づいた文書を通知する機能や、更新や削除などの操作を自動化する機能などが例として挙げられます。文書の種類によっては法律で保管期限が定められているものもあるため、ライフサイクル管理機能を活用して適切に対応することが大切です。
ワークフロー機能
文書の発生から伝達、保管、保存、廃棄という一連の流れを管理する機能のことです。保管期限が近づいた文書を通知する機能や、更新や削除などの操作を自動化する機能などが例として挙げられます。文書の種類によっては法律で保管期限が定められているものもあるため、ライフサイクル管理機能を活用して適切に対応することが大切です。
バージョン管理機能
文書の変更や更新があった場合に最新版と旧版を分けて管理する機能です。閲覧時には常に最新版にアクセスでき、誤って旧版を参照する心配がなくなります。また、トラブル発生時には旧バージョンの文書を確認し、「いつ」「どこで」「誰が」「どんな操作をしたのか」をチェックできるため、内部統制にも効果を見込めます。

文書管理システムの選び方

文書管理システムには多くの製品があり、それぞれ特徴が異なるため、自社に合うものを選ぶことが大切です。ここではシステムを選ぶ際のポイントについてご紹介します。

導入目的を明確にする

文書管理システムは、製品ごとに機能や特長が異なるため、自社に適したシステムを選ぶには導入目的を明確にすることが大切です。導入目的を考える際は、まず対象となる書類を列挙し、次に文書管理システムを活用し、どのように管理して何を実現したいのか検討するのが良いでしょう。

対象書類には、一般的な社内文書から取り扱いに慎重を期す必要がある機密文書まで、さまざまなものが含まれます。部署ごとに管理したい書類が異なるケースもあるため、事前の洗い出しが欠かせません。

実現すべき管理方法は現在の課題から導くことができます。例えば、必要書類の探索に時間がかかっているようであれば、簡単に検索できるような管理体制を構築したほうが良いですし、出先で書類を確認できるようにしたい場合は、クラウド上でも確認できる管理体制をとる必要があります。解決したい課題をあぶり出すことで、文書管理システムの導入目的が明確になります。なお、導入目的が複数ある場合は、優先順位を付けておくようにしておけば、システムを選びやすくなります。

必要な機能が搭載されているか

次に、導入目的を達成するために必要な機能をリストアップしましょう。例えば、決済や承認が必要な書類の管理が煩雑になっている場合は「ワークフロー機能を搭載した文書管理システム」を、文書へのアクセス性を重視する場合は「検索機能の豊富な文書管理システム」を選びます。基本的に、社内のあらゆる課題を解決してくれるシステムは、多額のコストをかけてオーダーメイドで作成しない限り存在しません。導入目的の達成に重点を置き、必要な機能を取捨選択して製品を選びましょう。

セキュリティ対策・法令遵守はされているか

企業の扱う文書には個人情報や機密情報が含まれるものが多いため、文書管理システムはセキュリティ対策が充実した製品を選ぶことが重要です。具体的には、ユーザーごとのアクセス権限の付与やバックアップの自動取得、アクセスログの管理、トラブル発生時のメーカーサポートなどの機能があると安全に運用できます。また、電子帳簿保存法など各種法令に対応したシステムを選べば、法令違反による罰則のリスクを避けられます。さらに、ISO規格に沿った文書管理を行えるシステムであれば、作業効率だけでなく、企業の信頼性も向上させられるためおすすめです。

コストの把握

文書管理システムの運用にかかるコストは、初期費用(イニシャルコスト)とランニングコストに分けて考える必要があります。料金プランが複数用意されている場合は、容量(文書数)やユーザー数など、何によってコストが変動していくのかを確認しましょう。また、無料トライアルやデモ画面が用意されているサービスを利用し、実際の使いやすさを確認してから費用対効果を考えて導入を検討するのもおすすめです。