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コストを削減する方法は?実際の事例をもとに注意点やポイントを解説

店舗経営で利益を確保するためには、不必要なコストは削減することが望ましいです。ただ、ひとえに削減といっても、コストにはどのような種類があるのかを理解できていないと削減すべきものを判断できません。
本章では、
について解説します。
また、本記事では企業がコスト削減に成功した事例も紹介していますので、自社のコスト見直しに役立ててください。
コスト削減の意味とは
コスト削減の意味は、事業運営にかかる費用を抑えることで利益を増やすことにあります。コストとは、事業を行ううえで必要になる経費全般を表しています。小売業であれば店舗の賃料や仕入れ代金、販売時の手数料などはすべてコストです。
コスト削減とは、上記のような事業の運営にかかる経費を削減し、利益を増やすことを指します。売上げに対してかかったコストが低ければ手元に残るお金が増え、自ずと利益は増えます。
利益が増えれば、経営の安定や人材の確保、新たなサービスへの投資に費やせるため、事業の成長へとつながることが最大のメリットです。そのため、事業を運営するうえでコストの定期的な見直しや削減は、経営に欠かせない要素といえます。
コストの種類
本章では、コストにはどのような種類があるのかを解説します。コストは大きく以下の3つにわけられます。
コスト削減は、事業の運営においてどのようなコストがかかっているのかを把握することから始まります。どのコストにいくらかかっているのかがわからないと、削減すべき箇所や削減自体が有効かどうかも判断できません。
コストに対する理解を深め、削減すべき項目を正しく判断できるように準備しましょう。
種類その1:経費
経費は事業によって異なりますが、日常的に使用する消耗品や交際、広告宣伝などにかかるコストが該当します。主な消耗品は事務用品などで、コピー用紙やボールペン、封筒など事務作業で消費されるような物品が該当します。また電球や掃除用品、タオルやティッシュペーパーなども消耗品費です。
交際費は、取引相手とのコミュニケーションの一環として生じた接待や、贈答品にかかったコストを表します。注意点として、交際費はプライベートと混同しやすい内容であることから、様々な規則が定められています。経費計上が可能かどうかは、国税庁のホームページを見る、税理士に聞いてみるなど、確認を怠らないようにしましょう。
広告宣伝費はその名の通り、自社サービスの宣伝にかかったコストを指します。
経費には上記のように、多くの項目が挙げられます。どのコストにいくらかかっているのか定期的に振り返り、コスト削減に役立てましょう。
種類その2:人件費
人件費は、従業員を雇っている場合にかかるコストのことです。従業員を雇うと、雇い主には給与を支払う義務が発生します。また残業が発生した場合の残業代やボーナス、通勤の際にかかる交通費の手当も会社が負担する人件費に該当します。
さらに、従業員の採用にかかるコストも人件費です。入社が決まった従業員の引っ越しをサポートする場合や、採用面接の段階でかかる交通費や宿泊費を自社で負担する場合も、人件費となります。
従業員は自社の売上を支えてくれる重要な役割を担います。コストとして大きな割合を占めるため、コスト削減の際には見直すべき項目にはなりますが、自社の売上にも関わるため判断は慎重に行いましょう。
種類その3:オフィス・店舗コスト
オフィス・店舗コストは、オフィスや店舗を借りて事業を運営するうえで必要となるコストです。オフィスや店舗を借りれば毎月の賃料が発生し、また電気や水道も使うため光熱費がかかります。
また従業員に支給するパソコン・タブレットなどの備品代や、システムの維持にかかるコストは「IT機器関連コスト」と呼ばれ、オフィス・店舗コストの一部です。IT機器関連コストは社員同士のコミュニケーションを円滑に進めたり、事業のサービスを推進させるうえで重要な役割を果たします。
店舗経営に関する固定費の目安を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
また、オフィスのコスト削減方法や、補助金・助成金の活用などについて知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
コスト削減のメリット
本章ではコスト削減のメリットについて解説します。
コスト削減には利益が増大すること以外にも、業務効率化や会社が成長するメリットがあります。事業の運営において、事業を成長させることや業務をいかに効率化させるかは常に考えるべき内容です。
コスト削減によって事業成長や業務効率化が叶うのは、まさに一石二鳥といえます。コスト削減で得られるメリットをしっかりと理解し、事業の運営を加速させましょう。
メリットその1:利益が増加する
コスト削減によって得られる主なメリットは、利益の増加です。利益は売上からコストを引いた数値となるため、コストが少なくなるほど、利益は増えます。反対に、いくら多く売上を上げていても、コストが売上と同額に近いほどかかってしまっていては、利益は一向に増えません。
不要なコストを洗い出して削減することは、会社の業績を上げるために欠かせない要素です。会社の業績が上がれば、出資を募ることができたり、金融機関からの評価も上がったりするため融資を受けやすくなります。
利益がなかなか上がらない場合は、一度コストを見直してみましょう。
メリットその2:業務効率化になる
コスト削減は、業務効率化にも繋がります。事業の運営にかかっているコストを洗い出して削減することは、会社の無駄を省くことと同じです。
例えば資料を共有する際に、枚数に関わらず毎回印刷していては、時間もコストもかかってしまいます。データで共有できるものは印刷する必要がないため、業務フローにおいて印刷の工程がなくなり、また消耗品費の削減が可能です。
また顧客情報を扱う場合でも、情報を印刷してファイリングしていると、書類を印刷する工程はもちろんファイルを見返したいときにもキャビネットまで取りに行く工程が発生します。データ上で情報を保管しておけば、印刷や移動の工程はなくなり、パソコンさえあれば確認できる環境が構築できます。
上記のように、コスト削減を目指すことは業務フローの見直しにもなり、結果的に業務効率化に役立つのです。
メリットその3:会社が成長する
会社の成長も、コスト削減によって得られるメリットの1つです。コスト削減が達成されると会社の利益が増加するため、手元に残るお金が増えます。残った利益は自社で働く従業員や株主に還元でき、さらに事業拡大を目的とする投資にも回すことが可能です。
自社に関わる方たちへの還元は、仕事に対するモチベーションや生産性の向上にも役立ってくれます。また従業員の会社に対する満足度が向上すれば定着率も上がるため、採用にかかるコストが削減できます。
コスト削減によって会社のさらなる成長が期待でき、また別分野のコスト削減に繋がる可能性もあるので、積極的にコストを見直しましょう。

コスト削減のデメリット
本章では、コスト削減によるデメリットを解説します。
コスト削減には多くのメリットがありますが、その反面デメリットも存在します。削減すべき箇所を誤ってしまうと、社員のモチベーション低下や人材が定着しなくなる可能性があるため注意が必要です。
またデメリットを理解しないままコスト削減に踏み切ることはリスクを伴うため、必ず本章の内容を理解しておきましょう。
デメリットその1:社員のモチベーションが低下する
コスト削減によるデメリットの1つとして、社員のモチベーションが低下する可能性があることが挙げられます。
コスト削減に給与形態の見直しや福利厚生の撤廃など、人件費の圧縮をする場合は自社の社員に経済面で大きな負担をかけてしまいます。社員の賛同を得ずにコスト削減を進めてしまうと、会社への不満は募る一方です。社員の業務に対するモチベーションが低下する可能性が高まり、最終的には売上げの低迷につながってしまうケースもあります。
前提として、給与や福利厚生の削減は大幅なコストカットにはなるものの、社員の賛同は得られにくいことを理解しなければなりません。コスト削減する際は、社員も含めて納得できる条件で判断を進めることが望ましいです。
デメリットその2:人材が定着しなくなる
コスト削減すると、人材が定着しなくなる可能性があります。
費用の削減に人件費を選択した場合、社員のリストラや早期退職の推奨、非正規雇用者の契約終了など、様々な決断をしなければなりません。
会社が人件費の削減を目的として大幅な人員削減をすると、たとえ対象ではない社員でも会社の将来に不安を感じ始めるでしょう。会社の将来に不安を感じた社員は転職してしまう場合もあります。
コスト削減を目的に人員を減らしたことが原因で、本当は辞めてほしくなかったような優秀な人材までもが会社を去ってしまうケースもあります。人件費の削減は数値だけで見れば大きな効果があるものの、優秀な人材の確保や定着が難しくなるリスクがあることも忘れないでください。
デメリットその3:予算の確保が必要になる
コスト削減には予算の確保が必要になる可能性があります。
コスト削減は会社の無駄を洗い出して省き、業務効率化を実現させる際に有効な施策でもあります。
しかし、人件費の削減を行い少人数でも仕事が回るような環境を構築するためには、IT化やオートメーションツールの導入が必要です。IT化の具体例としては勤怠システムや給与計算システムの導入などが挙げられますが、会社の予算を割いてシステムを導入しなければならず、まずは予算の確保が必要となります。
コスト削減を目指す施策によっては、一定の費用がかかることは理解しておきましょう。
コスト削減に成功した企業の事例
本章では、コスト削減に成功した企業の事例を解説します。
コスト削減に成功した事例の中には、自社の成長に欠かせないヒントが多く隠されています。現在どの分野でコストを削減しようか悩んでいる方は、同業の会社がどのようにコスト削減に取り組み、会社の成長に活かしたのかを学ぶことがおすすめです。
本章でコスト削減の具体的な方法を学び、ぜひ自社に活かしてください。
事例その1:株式会社尾賀亀
株式会社尾賀亀が行ったコスト削減の取り組みは、エネルギーコストの削減です。
株式会社尾賀亀はガソリンスタンドを経営する会社で、ガソリンスタンドにはコンビニエンスストアが併設されています。コンビニエンスストアの運営には電気代が欠かせないコストですが、キャノピー(ひさし)上にソーラーパネルを設置することで太陽光発電が可能になる仕組みを構築し、コンビニエンスストアの電力を自社で賄うことに成功しました。
自家発電を行うことでエネルギーコストの削減に成功した背景から、今後はエネルギー商社として自家用の太陽光発電所を設置する事業を展開する予定です。
今回の事例ではエネルギーコストの削減に成功しただけでなく、コスト削減に成功した実績を活かして他事業を展開していることが大きな特徴です。
事例その2:株式会社世古工務店
株式会社世古工務店がコスト削減のために行った取り組みは、コミュニケーションツール及びフリーアドレスの導入です。フリーアドレスとは、オフィス内で座席を固定せず、自席を自由に選択できる働き方です。
株式会社世古工務店は、従来の働き方では休日出勤や残業が常態化しており、効率化を進めようにも全く取り組めていない状況でした。
そこで、コミュニケーションツールとフリーアドレスの導入をしたことで、部署間のコミュニケーションが簡単に取れる風土の形成に成功します。
また社長や取締役との距離も縮まったことで、会社全体で業務効率化を考え、推進していく動きになり、結果的に残業時間を15%も削減することに成功しました。
事例その3:ソウ・エクスペリエンス株式会社
ソウ・エクスペリエンス株式会社が行った取り組みは、勤務環境の整備による採用コストの削減です。
ソウ・エクスペリエンス株式会社では、今後の企業成長には既存の人材が長く自社に定着することが重要と考え、社員の働き方に注目します。社員から要望のあった副業やリモートワーク、週4勤務などに応え、子供をオフィスに連れていける「子連れ出勤」を導入し、子どもがいる方でも働きやすい環境づくりを行いました。
社員からの様々な要望に応え、各社員に合った環境を提供することで、優秀な人材が長期間定着する企業へ成長します。勤務環境を整備した結果、新たな人材を採用するためのコスト削減に成功しました。
以下の記事では工場や製造業でコスト削減するアイデアを解説していますので、同業の方はぜひ参考にしてください。
コスト削減の具体的な方法
ここからは、具体的なコスト削減方法のポイントをご紹介します。 自社の課題や状況に合わせて、最適な方法を検討してみてください。
人件費の削減
人件費は、多くの企業にとって最も大きなコスト項目の一つです。 しかし、安易な給与カットや人員削減は、従業員のモチベーション低下や人材流出に繋がる可能性があります。 そのため、人材の質を維持しながら人件費を削減するためには、以下の様な方法が考えられます。
採用方法の見直し
リファラル採用やインターンシップなど、従来の採用手法を見直し、採用コストを抑える取り組みが有効です。
給与体系の見直し
年功序列型から成果主義型へ給与体系を変更することで、従業員のモチベーション向上と人件費適正化を図ることができます。
業務委託、アウトソーシングの活用
専門性の高い業務や、コア業務以外の業務を外部に委託することで、人件費削減と同時に、業務の効率化や質の向上を図ることができます。
オフィス関連費用の削減
オフィス関連費用も、企業にとって大きなコスト負担となります。 近年では、テレワークの普及もあり、オフィス環境を見直す企業が増えています。
賃料の交渉
賃料は固定費の中でも大きな金額のため、減額交渉が成功すれば大きなコスト削減になります。賃貸人が契約更新のタイミングで賃料の交渉をしたり、長期契約を約束したうえで低い賃料を交渉したりするなど、賃貸人・賃借人の双方が納得できる条件を模索することが大切です。

テレワーク、リモートワークの導入
テレワークやリモートワークを導入することで、オフィススペースを縮小し、賃料や光熱費を削減することができます。
ペーパーレス化の推進
書類の電子化やオンラインストレージの活用により、紙資料の印刷や保管にかかるコストを削減できます。
水道光熱費の節約
節電や節水を徹底する、LED照明に変更するなど、日々の取り組みで水道光熱費を削減することができます。
経費の削減
経費は、意識して管理しなければ、無駄が発生しやすいコスト項目です。 経費削減のためには、以下の様な方法が考えられます。
広告宣伝費の見直し
費用対効果の高い広告媒体への集中や、Web広告の効果測定を徹底することで、無駄な広告宣伝費を削減することができます。
出張費の削減
オンライン会議システムを活用し、出張回数を減らすことが効果的です。
通信費の見直し
企業向けの格安SIMや、契約プランの見直しによって、通信費を削減することができます。
消耗品費の削減
消耗品は、まとめ買いによって単価を下げたり、再生品を活用することでコスト削減が可能です。
振込手数料の削減
インターネットバンキングを活用することで、振込手数料を無料化したり、手数料の低い金融機関を選択することで、コスト削減につながります。
コスト削減の注意点
本章ではコスト削減の注意点を解説します。
コスト削減には会社の利益を増やしてくれる大きなメリットがありますが、意識するあまりサービスの質が下がってしまっては本末転倒です。
また、コストを減らすことに集中しすぎると、本来減らすべきではないコストまでも削減してしまうリスクがあるため注意が必要です。コスト削減をした結果、会社の成長につながることが本来の目的であるため、忘れずに施策を考えましょう。
注意点その1:サービスの質を下げない
コスト削減をした結果、サービスの質が下がってしまわないように注意しましょう。
仕入費用を少しでも削減できるよう、いつもの材料ではなく、より安価な材料を使うと、今までと同じ品質を保つことは難しいです。また人員の削減によって1人あたりの業務量が格段に増える状況に陥ると、どんなにスキルの高い人員を配置していても、サービスの質が維持できなくなるリスクもあります。
上記のように、コストを下げる判断をした結果起こり得るリスクを把握しておかないと、製品やサービスの質が落ち、顧客からのクレームや売上の低迷を引き起こします。コストを削減して会社の利益を確保するはずが、サービスの質が低下して利益が下がることもあり得るので注意しましょう。
注意点その2:コスト削減を目的にしない
コスト削減は、コストを削減すること自体を目的にしないよう注意しましょう。
コスト削減は本来、会社の利益を増やしたり、増えた利益を再投資して会社の成長を手助けしたりするための施策です。コストを下げること自体に意味はなく、減らした結果会社がどう成長するのかを考えることが大切です。
なぜコストを減らすのかがわからないまま施策を進めると、外注費など事業運営において大切な項目までコストカットしてしまうリスクがあります。外注費をカットした結果事業がうまく回らなくなり、継続が難しくなってしまっては意味がありません。
コスト削減の際は、必ず事前に目的を明確にし、意味のないコスト削減はしないよう注意してください。
注意点その3:効果測定を忘れない
コスト削減は、効果測定を忘れないようにしましょう。
効果測定とは、コストを削減した結果どのような効果が出たのかを振り返り、分析する工程です。コストを削減した結果、利益がどれほど向上したのか、現場の業務はどれほど効率化できたのかは、効果測定をして初めてわかる内容です。
効果測定を忘れてしまうと、具体的な結果がわからず、そもそもコストを削減したことが正解だったのかもわかりません。結果が明確にわからないものは、施策とはいえないでしょう。
コスト削減は正しかったのか、失敗してしまったのならどこを改善すれば良いのか、振り返りをしっかり行って、次の施策につなげられるようにしましょう。
コスト削減はポイントを押さえて適切に行おう
コスト削減を行う場合は、必ず目的を明確にすることが大切です。
むやみにコストの見直しをすると、かえって会社の成長速度や社員の定着率を下げる結果になるため注意が必要です。
オフィス・店舗を借りている場合は、賃料の確認や見直しも大幅なコスト削減となります。
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