SDGs
SDGsとは?17の目標だけでなくビジネスパーソンが知るべき基礎知識と日本の達成状況
SDGs(持続可能な開発目標)は、発展途上国だけでなく先進国も取り組みの対象になっており、その点が従来の開発目標と大きく異なります。
SDGsに含まれる17の目標には、事業活動と密接に関係するものも多く、企業がSDGsに取り組むことで、経営リスクの回避や新たなビジネスチャンスの獲得につながります。また、企業のSDGsへの取り組み状況が投資先を選ぶ基準の一つにもなっており、資金調達の側面からも、企業がSDGsに取り組む必要性は高いといえます。
企業がSDGsを推進する際は、SDGsについての理解を深め、自社の事業と関連性が深い項目から着手していくことが大切です。
本コラムでは、SDGsが生まれた背景や企業がSDGsに取り組む必要性、17の目標といったビジネスパーソンが知るべき基礎知識、日本の達成状況について解説します。SDGsに関する理解を深め、自社での取り組みを考える際のヒントにしてください。
SDGsとは?
まずは、SDGsの生まれた背景や企業が取り組む必要性といった概要から説明します。
SDGsが生まれた背景を知ることで、構造や導入方法など学びやすくなり、理解が深まります。
SDGsの概要
SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」です。持続可能でよりよい世界を目指す国際目標で、17の目標(ゴール)と169ターゲット・232指標で構成されており、それぞれ「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されています。
2015年9月の国連サミットにて加盟国の全会一致で採択されたもので、193か国が、2016年から2030年の15年間で達成することを目標としています。
SDGsには法的強制力や罰則はないものの、すべての国連加盟国が自主的に報告するシステムが確立されており、取り組まなければならない世界共通の優先課題とされています。これだけの規模と威力を持った世界目標を国連が採択したのは、SDGsが初めてです。
SDGsが生まれた背景
SDGsは2001年に策定されたミレニアム開発目標( MDGs:Millennium Development Goals )の後継として生まれました。
MDGsは主に発展途上国(後発開発途上国)の開発分野における国際社会共通の目標で、貧困・教育・ジェンダー平等推進といった8つの目標を掲げていました。達成期限の2015年までに一定の成果を上げましたが、教育や母子保健などMDGsで未達の社会課題もあり、そうした課題に引き続き取り組むためにSDGsが生まれました。
MDGsにおいて先進国は発展途上国を支援する立場でしたが、SDGsは先進国も対象に含まれています。
企業がSDGsに取り組む必要性
SDGsは、政府や地方自治体だけでなく、企業と個人も取り組みの対象となった点が、従来の開発目標と大きく異なります。企業の事業目標と一致する開発目標も増えたことから、SDGsに取り組む機運が高まっています。
企業がSDGsに取り組むことで、経営リスクの回避や新たなビジネスチャンスの獲得につながります。SDGsがもたらす市場機会の価値は年間12兆ドルとされており、SDGsを事業に「活用」する観点で注目を集めています。
また、近年は収益性だけでなく環境問題などにも取り組む倫理性を重視する投資家が増えています。こうした考え方を「ESG投資」と呼び、SDGsに取り組んでいるという情報を広くアピールすることで、資金調達しやすくなるメリットもあります。
SDGsの17目標(ゴール)と5Pなどの分類法
ここでは、SDGsの各目標(ゴール)の概要と、目標の分類方法について説明します。
目標の分類方法を知ることで、それぞれの関係性を把握しやすくなり、SDGsが目指すところを体系的に理解できるようになります。
SDGsの17目標を紹介
①貧困をなくそう
世界では、6人に1人の子どもたちが1日1.9米ドル以下という極度に貧しい暮らしをしています。2030年までに、世界中で極度に貧しい暮らしをしている人をなくすことを掲げています。
②飢饉をゼロに
国連のレポートによると、2019年時点で食料不安を抱える人の割合は全世界の25.9%でした。2030年までに飢餓を撲滅し、全ての人々(特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々)が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにすることを掲げています。
③すべての人に健康と福祉を
国連のレポートによると、2017年時点で必須の医療サービスを受けられない人が世界人口の半分以上存在しています。世界の妊産婦と新⽣児における死亡率の減少や、エイズなどの伝染病の根絶を含め、あらゆる年齢の全ての人の健康的な生活を確保し、福祉を推進することを掲げています。
④質の高い教育をみんなに
世界には様々な理由で学校に通えない子どもたちが大勢います。そういった教育格差が将来の所得格差にも繋がることから、不平等を解消し2030年までに全ての子供が平等に教育を受けられるようにすることを掲げています。
⑤ジェンダー平等を実現しよう
女性と女児に対するあらゆる形態の差別は、今も根強く残っています。人権にも関連するこれらの問題を解消し、女性が政治・経済・公共分野での様々な場面で男性と同等な権利を得ることができることを掲げています。
⑥安全な水とトイレを世界中に
国際連合広報センターの資料によれは、2020年時点で安全に管理された飲料水を利用できていない人は約20億人存在します。環境汚染を減少させ、生態系を保護することで、誰もが安全な水にアクセスできる社会の実現を掲げています。
⑦エネルギーをみんなに そしてクリーンに
世界には、エネルギーを利用できない状況にある人や、薪・石炭と言った非効率なエネルギーを利用している人が多く存在します。全ての人にエネルギーへのアクセスを確保し、再生可能エネルギーの割合を拡大させることを掲げています。
⑧働きがいも 経済成長も
全ての人が雇用を獲得し、同一労働同一賃金のもとで働き甲斐のある人間らしい仕事に就くことができることや、経済成長率を持続すること(特に開発途上国の高い成長率)に掲げています。
⑨産業と技術革新の基盤をつくろう
世界には、インターネットや携帯電話の電波にアクセスできない農村部に暮らしている人が大勢存在し、そういったインフラの未整備が経済格差の原因にもなっています。全ての人が産業の発展や技術確認に寄与できる基盤をつくることを掲げています。
⑩人や国の不平等をなくそう
資本主義の拡大により、豊かな方と貧しい方との格差が広がっています。政治や社会、経済において全ての人々が平等に扱われるよう改善することを掲げています。
⑪住み続けられるまちづくりを
世界には、安全な住まいに住むことができない方が大勢います。また、昨今は人々が避難や移住をしなければならなくなるような自然災害の発生件数が増えています。全ての人が安心して暮らせるまちづくりを掲げています。
⑫つくる責任 つかう責任
世界で生産されている食料の約3分の1が捨てられています。そういったフードロスの問題を解決するだけでなく、人間生活を送る上で排出されるゴミや汚染物質を減らし、天然資源を管理することで持続的な社会をつくることを掲げています。
⑬気候変動に具体的な対策を
産業革命を契機とした地球温暖化の加速により、様々な気候変動が生じるようになりました。気候変動に関する教育や啓発を行い、その対応を具体的な政策に落とし込むことを掲げています。
⑭海の豊かさを守ろう
生産活動で発生する海洋汚染や、破壊的な漁業による種の絶滅を防ぎ、豊かな生みを守ることを掲げています。
⑮陸の豊かさも守ろう
砂漠化や陸で暮らす絶滅が危惧される種を保全し、未来に向けて豊かな陸を守ることを掲げています。
⑯平和と公正をすべての人に
暴力や暴力による死、虐待、搾取、人身売買、拷問など、あらゆる不公平を減らすとともに、法律に従って平等にものごとが取り扱われる世界にすることを掲げています。
⑰パートナーシップで目標を達成しよう
開発途上国へのさらなる支援など、持続可能な開発のための実施手段を強化するために、国際的なパートナーシップを活性化することを掲げています。
17の目標の分類方法 ~様々な視点で見る~
5つの「P」
SDGsの目標を次の5つの「P」で分類したものです。
- People 人間
- Prosperity 豊かさ
- Planet 地球
- Peace 平和
- Partnership パートナーシップ
2015年9月に開催された国連サミットで、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が成果文書(国連などの会合での成果をまとめたもの)として採択されました。
アジェンダの冒頭で「5つのP」について触れられており、SDGsの17目標は、5つのPを具体化したものです。そのため、5つのPはSDGsの基本概念であり、SDGsが根本的に目指すところを理解する上で重要な分類方法と言えます。
各目標は次のように分類できます。
People 人間 | ① 貧困をなくそう ② 飢饉をゼロに ③ すべての人に健康と福祉を ④ 質の高い教育をみんなに ⑤ ジェンダー平等を実現しよう ⑥ 安全な水とトイレを世界中に |
---|---|
Prosperity 豊かさ | ⑦ エネルギーをみんなに そしてクリーンに ⑧ 働きがいも 経済成長も ⑨ 産業と技術革新の基盤をつくろう ⑩ 人や国の不平等をなくそう ⑪ 住み続けられるまちづくりを |
Planet 地球 | ⑫ つくる責任 つかう責任 ⑬ 気候変動に具体的な対策を ⑭ 海の豊かさを守ろう ⑮ 陸の豊かさも守ろう |
Peace 平和 | ⑯ 平和と公正をすべての人に |
Partnership パートナーシップ | ⑰ パートナーシップで目標を達成しよう |
ウェディングケーキモデル
【出典】Stockholm Resilience Centre / https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/about/
ウェディングケーキのように大きさが異なる円状の階層が3つ重なったモデルです。下から、「生物圏」「社会圏」「経済圏」と層が積み重なっています。
土台となる生物圏があることで、その上の社会活動が成り立ち、さらにお金を生み出す経済活動が可能になるという考え方を表したものです。生物・社会・経済の問題は密接に関係しており、経済の問題解決には、社会・生物の問題解決も必要になることが視覚的に分かる分類方法です。
なお、目標17の「パートナーシップで目標を達成しよう」は、ウェディングケーキモデルの頂点に設定されています。国や政府、企業といった枠組みを越えて全世界の人がパートナーシップを組み、SDGsの目標達成を目指すことを意味しています。
分類なし(頂点) | ⑰ パートナーシップで目標を達成しよう |
---|---|
経済 |
⑧ 働きがいも 経済成長も ⑨ 産業と技術革新の基盤をつくろう ⑩ 人や国の不平等をなくそう ⑫ つくる責任 つかう責任 |
社会 |
① 貧困をなくそう ② 飢饉をゼロに ③ すべての人に健康と福祉を ④ 質の高い教育をみんなに ⑤ ジェンダー平等を実現しよう ⑦ エネルギーをみんなに そしてクリーンに ⑪ 住み続けられるまちづくりを ⑯ 平和と公正をすべての人に |
自然資本 |
⑥ 安全な水とトイレを世界中に ⑬ 気候変動に具体的な対策を ⑭ 海の豊かさを守ろう ⑮ 陸の豊かさも守ろう |
環境、経済、社会の三層構造
SDGsの17の目標を、経済・環境・社会の3つの要素で切り分け、木の模式図で表したものです。
この3つの要素のうち、一つの目標の達成のみを目指すと、その他の目標の達成を妨げることになる場合もあります。そのため、各要素のバランスが取れていることが重要です。
環境のカテゴリでは、環境問題や海、陸地、生物を守ることなど、自然環境の持続可能性に関する課題を扱っています。「ウェディングケーキモデル」の考え方と同様に、「環境」が「社会」と「経済」の基盤になっているという考え方です。
社会のカテゴリでは、貧困問題や健康、福祉など、人間らしい社会活動を送るための課題が挙げられています。
経済のカテゴリでは、働きがいや技術革新の基盤作りといった、先進国や企業に関係の深い課題が含まれているのが特徴です。
経済 | ⑧ 働きがいも 経済成長も ⑨ 産業と技術革新の基盤をつくろう |
---|---|
社会 | ① 貧困をなくそう ② 飢饉をゼロに ③ すべての人に健康と福祉を ④ 質の高い教育をみんなに ⑤ ジェンダー平等を実現しよう ⑪ 住み続けられるまちづくりを |
環境 |
⑥ 安全な水とトイレを世界中に ⑦ エネルギーをみんなに そしてクリーンに ⑫ つくる責任 つかう責任 ⑬ 気候変動に具体的な対策を ⑭ 海の豊かさを守ろう ⑮ 陸の豊かさも守ろう |
ガバナンス | ⑩ 人や国の不平等をなくそう ⑯ 平和と公正をすべての人に |
17の目標(ゴール)を達成するための169ターゲットと232指標
SDGsは17の目標(ゴール)と169ターゲット・232指標で構成されていて、関係性は以下のようになります。
- 目標(ゴール)は、2030年にあるべき姿
- ターゲットは、2030年までに達成すべき具体的目標
- 指標は、達成度を測るための評価指標
目標4を例に挙げてみましょう。
「世界中のすべての人々が、質の高い教育を受けることができる状況にある」が2030年のあるべき姿(ゴール)です。そのゴールを達成するためには具体的な目標が必要で、それにあたるのが「ターゲット」です。ターゲットは、各ゴールに対して5~19個ほど設定されています。さらに、ターゲットの下には指標が設けられており、ターゲットの進捗や達成度は指標をベースに判断されます。指標も複数設定されていることがあります。
企業としてSDGsに取り組む際には、すべての目標(ゴール)とターゲットを確認し、目標(ゴール)やターゲットが提起している問題が、自社のビジネス・サービスにどのように関係していくのかを考えるところから始まります。まずは達成したい目標(ゴール)に対して、どのようなターゲットが設定されているかを押さえておきましょう。
SDGsにおける日本の達成状況
SDGsにおける日本の達成状況を世界のランキングから見ていくと、日本の現状が良く分かります。
SDGsの浸透度では欧米諸国が上位にランクインしており、日本の浸透度と差が大きいことが分かります。また、日本は質の高い教育や技術革新の基盤作りなどの面が高く評価されている一方で、ジェンダー平等や環境問題への取り組みなどで厳しい評価を受けています。ここでは具体的な内容を見ていきましょう。
世界における日本の達成度ランキング
持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)と独ベルテルスマン財団により、「Sustainable Development Report」が毎年公表されています。これは、SDGsの進捗状況をランキング形式でレポートにまとめたものです。
ランキングはSDGsの目標達成度を測る232の指標を基に算出され、2016年から毎年発表されています。2021年で5回目となっています。
2021年6月に発表されたSDGs達成度ランキングでは日本が165カ国中18位(79.8)という結果になっています。上位3カ国は北欧の国々が占め、1位がフィンランド(85.9)、2位がスウェーデン(85.6)、3位がデンマーク(84.9)の順です。
欧米諸国が上位にランクインしており、SDGsの浸透度の高さがわかります。
<SDGs達成状況が上位の国>
順位 | 国名 | 点数 |
---|---|---|
1位 | フィンランド | 85.9 |
2位 | スウェーデン | 85.6 |
3位 | デンマーク | 84.9 |
4位 | ドイツ | 82.5 |
5位 | ベルギー | 82.2 |
6位 | オーストリア | 82.1 |
7位 | ノルウェー | 82.0 |
8位 | フランス | 81.7 |
9位 | スロベニア | 81.6 |
10位 | エストニア | 81.6 |
11位 | オランダ | 81.6 |
12位 | チェコ | 81.4 |
13位 | アイルランド | 81.0 |
14位 | クロアチア | 80.4 |
15位 | ポーランド | 80.2 |
16位 | スイス | 80.1 |
17位 | 英国 | 80.0 |
18位 | 日本 | 79.8 |
19位 | スロバキア | 79.6 |
20位 | スペイン | 79.5 |
【出典】「Sustainable Development Report 2021」
https://s3.amazonaws.com/sustainabledevelopment.report/2021/2021-sustainable-development-report.pdf
コロナ禍がSDGsの達成度に与えた影響
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、SDGsの達成度が調査開始依頼、初めて後退しました。特に飢餓対策の遅れに深刻な影響があり、国連は2020年に世界の飢餓状況が劇的に悪化したと発表しています。
2020年時点で、世界の全人口の約9.9%が栄養不足と推定されており、2019年の8.4%から増加しています。これは、2030年までに飢餓をゼロとするには相当の努力が必要であることを意味します。
コロナ禍は、貧困問題にも多大な影響を与えています。ロックダウンなどによる失業者も増え、国連開発計画では、5億人が再び貧困に陥る可能性があると予測されています。
一方で、コロナ禍によって目標に近づいたと考えられる目標(ゴール)もあります。例えば、学校教育のオンライン化は「4.質の高い教育をみんなに」という目標の進捗に寄与しているといえます。日本でもオンライン教育が一般化し始めてきています。また、出社制限による人手不足を解消するためのDXの導入やリモートワークの推進は、「8.働きがいも経済成長も」の実現につながります。
日本のSDGs達成状況
日本のSDGsの達成状況は次のように推移しています。
年度 | 順位 | 点数 |
---|---|---|
2016年 | 18位 | 75.0 |
2017年 | 11位 | 80.2 |
2018年 | 15位 | 78.5 |
2019年 | 15位 | 78.9 |
2020年 | 17位 | 79.1 |
2021年 | 18位 | 79.8 |
【出典】「SDG Index and Dashboards 2016」「SDG Index and Dashboards 2017」「SDG Index and Dashboards 2018」「Sustainable Development Report 2019」「Sustainable Development Report 2020」「Sustainable Development Report 2021」
https://www.sdgindex.org/reports/
日本は2017年の11位が最高順位で、2021年には前年の17位から18位にランクダウンしています。2020年と2021年を比較してみると、順位は下がっているものの、点数は上がっています。これは、世界各国がSDGsに取り組み、基準そのものが上がっていることに起因すると考えられます。
続いて、日本の達成状況の内訳を見ていきましょう。
日本の達成状況が高い目標は次の3つです。
- ④ 質の高い教育をみんなに
- ⑨ 産業と技術革新の基盤をつくろう
- ⑯ 平和と公正をすべての人に
日本は年少教育から高等教育までの高い就学率や識字率を誇り、世界的にも評価されています。また、技術・産業のレベルが高く、紛争や犯罪などが少なく安全性が高い点も達成度の高さに寄与しています。
一方で、日本の達成状況が低い目標は次の5つです。
- ⑤ ジェンダー平等を実現しよう
- ⑬ 気候変動に具体的な対策を
- ⑭ 海の豊かさを守ろう
- ⑮ 陸の豊かさも守ろう
- ⑰ パートナーシップで目標を達成しよう
ジェンダーギャップについては、特に政治の世界で大きな遅れがあります。日本の国会議員の女性比率は9.9%、世界での順位は166位で、G7諸国では最下位です。
また、13・14・15はいずれも環境に関する目標です。日本は化石燃料に頼った電源(※ここでは電気をつくる方法を指す言葉)の構成になっており、世界的にもクリーンエネルギーへの対応が遅れています。食品ロスも、日本が持続可能な地球のために取り組まなければならない大きな課題です。
環境に関する目標の中でも、特に「15.陸の豊かさも守ろう」の達成状況が低いことは重く受け止めなければなりません。5つの課題の中で、この目標だけが前年より状況が悪化しています。これは、陸と淡水地の平均面積の減少とレッドリスト指数の低下が大きく関係しています。レッドリストとは絶滅の可能性がある野生動物のリストのことで、レッドリスト指数が低下するほど絶滅リスクが高まります。平均面積の減少とレッドリストは、いずれも森林伐採や地球温暖化などが原因とされています。
「17.パートナーシップで目標を達成しよう」の日本の達成状況が低い要因として、ODA(政府開発援助)や金融の不透明さなどが挙げられています。過去数十年間において、日本の発展途上国への貢献度は高いものの、ODA自体の予算は近年減少傾向にあります。
パートナーシップはSDGsの基本ともいえる目標です。政府や企業、個人といった枠組みを越えて、一人ひとりがSDGsに取り組む意識を持ち、行動に移すことが大切です。